金需要、3四半期ぶりプラス 7~9月 前年比8%増
7~9月の世界の金需要が3四半期ぶりに前年実績を上回った。金の調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が12日公表したリポートによると、金需要は前年同期比8%増え、1121トンだった。金相場が7月に急落したことで投資需要が喚起された。
地金やコインといった個人投資分野は米国や中国の需要がけん引し、296トンと27%の大幅増になった。宝飾分野は631トンと6%増だった。
景気が鈍化する中国(香港除く)は総需要量が240トンで、前年同期比13%増。宝飾品は188トンで4%の増加にとどまったが、投資が70%増の52トンになった。「人民元切り下げで国内価格の上昇期待が強まり、地金が買われた」(WGC)
米国の総需要は6割増の59トン。投資需要が3倍の33トンに膨らんだ。景気が復調するなか、安値になった金のコインが売れたという。
投資分野ではトルコも2倍の11トン。規模が小さく、上昇幅が大きくなりやすいものの「過激派組織『イスラム国』(IS)にからんだ政情不安が高まって、安全資産である金を買い求める動きがあった」(同)
インドは中国から四半期ベースで1年ぶりに首位を奪い返した。婚礼シーズンを控えるなかで、値下がりしたことで、宝飾品が売れた。総需要量は中国をわずかに上回る268トンで、13%伸びた。
日本は投資分野の需要が11トンだった。これまで売却量のほうが多かったが、5四半期ぶりに純増に転じた。
各国の中央銀行も買い手として存在感を増している。中央銀行分野の合計は175トン。前年同期が過去最高の需要量だったこともあり3%減った。ただ、前年同期に次ぐ過去2番目の水準だった。