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ローマ史2・・・共和政治の終焉

その後はいわゆる軍人皇帝による内戦が恒常化し(190年頃から)、軍事費の増加が財政を圧迫する状態が続きました。3世紀になると軍人皇帝が乱立し、東方よりササン朝ペルシャ、北方からゲルマン人が侵攻し帝国は危機に瀕します。ついにディオクレティアヌス帝によって帝国は東西に分割され東の皇帝が専制君主として君臨し、共和政治は幕を閉じました。
                       
 しかし次の帝位を争って再び内戦が始まり、キリスト教を公認したことで知られるコンスタンティヌス帝がその座を獲得します。専制君主制は一応進展し、首都をコンスタンティノープルに遷都し、キリスト教を国教とするなど変化しながらもローマ帝国は統一されることなくゲルマン民族の大移動にさらわれてしまいます。
                  
476年、西ローマ帝国はゲルマン人によって帝位を廃され、滅亡します。東ローマ帝国は、かつての首都こそ西ゴート人によって占領されてしまいますが、ゲルマン人を遠ざけることに成功しやがてビザンティン帝国の礎となります。

ローマの支配のもとでは、特にマケドニアや小アジアの造幣所でコインが生産されました。当初、ローマの貨幣はギリシャに入ってきませんでしたが、前1世紀頃には兵隊に給与を支払うため、ギリシャの都市でもローマの貨幣は生産しました。同時にギリシャ都市国家による銀貨の製造は途絶え、現地で使う青銅貨だけが造られました。オクタビアヌス以降も基準通貨こそローマの金銀貨でしたが、実際に使われたのはギリシャ諸都市で発行する青銅貨でした。
                 
このいわゆる帝国版ギリシャコインは、ローマが禁止する3世紀まで造られました。表には皇帝やカエサルなど英雄の肖像、裏にはその地方の首長や建築物を描いたのが特徴です。そして最後のギリシャコインには、ローマ帝国東方が細やかな描写で綴られています。

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プロフィール

藤野 拓司

Fujino Takuji

ティアラ・インターナショナル株式会社 ディレクター

福岡県出身。早稲田大学卒業。古代ギリシャ・ローマコイン コレクター。コインジュエリー メーカー&卸売業、30年の実績。国内・海外コイン商との直接取引、25年?、国内・海外コインオークション、参加25年?(主としてロンドン・ニューヨーク)

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