ゴールドコラム & 特集

「香港・中国での占い」「ドイツ連銀のゴールド本国送還」

今週は軽めのトピックを二つ。

「香港・中国での占い」

先週末、香港に行ってきました。本来は香港マラソンに出るためにチケットを取っていたのですが、ま、いろいろあって結局純粋なグルメツアーにしました。

そこで友人から聞いた話です。香港と中国の著名な占い師(風水師かもしれませんね)の4人が、マーケットに関して占ったところ、アングルは各自違うものの、現在ニューヨークでは史上最高値を更新している株式市場は、今年2017年後半に約10%の修正(つまり下落)が入り、来年2018年には本格的なバブル崩壊の暴落となる、というものでした。1987年ブラックマンデー、1997年アジア危機、2007年リーマンショックの始まりと7のつく年は、マーケットが暴落する年であり、今その年である2017年に入っていると。僕は占いなぞ信じない方なのですが、過去の流れと現在の世界、特に欧州の政治状況、迫りつつある国政レベルでの選挙での右派の台頭、そして米国ではトランプ新政権の極端な政策の実行と、世界を不安にする材料には事欠きません。Self-fulfilling な予言になるのが一番怖いのであまり大騒ぎはせずに、でもこういう予言があると心の中にとどめておくのが一番いいですね。


(NY DowとGold、過去40年の動き)


「ドイツ連銀のゴールド本国送還」

数年前からドイツ連銀がゴールドを海外保管先からドイツ国内へと戻しているというニュースが出たのを読んだ人は多いと思います。2013年にFRBからゴールドをドイツ国内に移動し、そして先週木曜日の発表ではフランスからもゴールドを取り戻し、ニューヨークからの分を足して583トンものゴールドを国内に持ってきました。ドイツは3年後に、彼らの保有するゴールドの半分を国内に所有するという計画をもはや達成したことになります(ドイツ連銀が保有するゴールドは昨年11月現在の数字で3378トン。FRBの8133トンに次いで世界で2番目のゴールド保有量です)。この背景には何があるのでしょうか。マーケットではいろいろな憶測、いわゆる陰謀説も流れました。

・中央銀行間の関係が悪化した。

・ユーロ圏の崩壊時のドイツマルクの信用裏づけとしてゴールドを保有しておきたい。

・トランプ大統領政権の登場による環境の変化。

・ロシアからの噂として、米国は預かっていたドイツのゴールドをとっくの昔に売り払っており、ドイツから返却要請が来て急いで買い戻したので、預けたゴールドとは違う物が返ってきた。

このようにゴールドマーケットで何か大きな出来事があると、必ずと言っていいほどいろいろな陰謀説が巷にあふれてきます。しかし、ブンデスバンク(ドイツ中銀)の正式な発表は、「国内での信用と信頼を築くため」と退屈ながらもっともなものとなっています。

ブンデスバンクは、こういった陰謀論を打ち消すためか、2015年には2300ページに及ぶゴールドバーのリストを公表しました。そのリストにはバーナンバー、在庫番号、そして重量と品位が記載されています。ゴールドバグ(ゴールド愛好家)の好奇心を満足させるのは大変なことのようです。



岡藤商事株式会社

プロフィール

池水 雄一

Yuichi Ikemizu

スタンダードバンク東京支店長

1990年クレディ・スイス銀行、1992年三井物産貴金属リーダー、2009年より世界一の金取引量を誇るスタンダードバンクの東京支店長に就任し、現在に至る。一貫して貴金属ディーリングに従事し、世界の貴金属ディーラーでBruce(池水氏のディーラー名)を知らない人はいないと言われている。著書に「THE GOLD ゴールドのすべて」など。

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