再送-為替こうみる:トランプ政策進捗しない可能性で金と円は底堅い=マーケットストラテジィ 亀井氏

[東京 14日 ロイター] -  <マーケット ストラテジィ インスティチュート代表 亀井幸一郎氏>
金融市場では、米年内利上げの回数が話題だが、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、今回、市場が期待するほど、タカ派的にならないとみている。今回の利上げの趣旨は「上げられるうちに上げておく」ということに尽きると思うからだ。
米国株の高値警戒感もあるうえ、過去のFOMCでもドル高のネガティブな側面について話し合われており、イエレン氏がタカ派に傾斜することに具体的なメリットは無い。
利上げ回数が増えることを見込んで上がってきた米長期金利は、FOMC後、反落に転じると予想する。
週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、米国が自国の利益のための主張を繰り広げるという前代未聞の展開となりそうだ。
G20後の金融市場は、再び、トランプ政権の政策の進捗度合いに関心を向けるだろう。
ただ、米予算教書では、減税策やインフラ投資について、規模や実施スケジュールなど、大したものが出できそうにない。
トランプ政策の進捗度合いに対する市場参加者の失望と、米長期金利の低下を受けて、資金は「金」と「円」に向かうとみており、それらは底堅い展開となりそうだ。
米10年国債利回りは先週末から2.62%台と、昨年12月16日の水準を上抜けているが、金相場は当時のように1150ドルを割り込んで売られず、1200―1250ドルのレンジ内の推移となっている。
金が底堅い背景には、トランプ政権の政策の不透明性、不確実性がある。
同様に、リスク回避先としての円も底堅いとみており、イベントリスクを考えればドル/円相場が111円を下回る可能性もあるだろう。

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