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欧州で金の保管庫建設ブーム-投資家の安全資産への逃避進む

  • インフレ対策のため欧州全域で金保管需要が拡大
  • ポピュリズムの台頭など世界の政治混乱も金投資の伸びにつながる

ロンドン西部では貸金庫、フランクフルトでは警備の厳重な金と銀の貯蔵施設が建設されるなど、貴重品の保管を手掛ける企業が需要に対応するため能力を拡充している。

  金融危機の際に始まった安全資産への逃避が、ポピュリズムの台頭とインフレの兆しを背景に再び活発化している。欧州で1億ユーロ(約124億円)を超える価値の金を保管可能な施設の開設を計画している企業もあり、顧客に対し、上場取引型金融商品(ETP)より低コストのインフレ対策を提供している。

Inside A German Gold And Precious Metals Vault

ドイツの保管庫に置かれた金地金

Bloomberg

  金ディーラー、シャープス・ピクスリーのロス・ノーマン最高経営責任者(CEO)は「当社の顧客の多くにとってインフレは主要な懸念材料だ。安全資産については、何を購入するかだけではなく、どこに保管するかが重要だ」と指摘する。

  欧州の金ディーラー、コインインベスト・ドット・コムのダニエル・マールブルガーCEOはフランクフルトからの電子メールで「ドイツで、銀行口座にマイナス金利を適用された顧客に対応した」と説明。その顧客は現金の一部で金と銀を購入することを決めたという。「これが一つの要因であることは確かで、貴金属の販売は伸び、保管を必要とする顧客も増えるだろう」と述べた。

  コインインベストは金1億ユーロ相当余りを保管できる面積100平方メートルの保管施設の建設について交渉中。保管庫の重量は82トンで、扉だけでも1.5トンに上る。

原題:Vault Building Booms as Gold Lures Investors in Turbulent World(抜粋)

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