「日本人はプラチナ好き」、1~6月のプラチナ販売1割増 田中貴金属
地金商大手、田中貴金属工業は12日、資産用地金の2018年1~6月の売買実績を発表した。国内の個人投資家向けのプラチナ(白金)地金の販売量は4573キログラムと、同期間としては2年ぶりに前年を上回り、前年同期比約12%増えた。
プラチナ地金は、価格が金を下回る価格逆転が常態化し、昨年は販売が伸びなやんでいた。今年は相場が一段安となり、金に比べた割安感に着目した買いが増えた。価格が急落した3月と6月の買いが増加。17年1~6月の販売量は前年比5割減だった。
投資家が着目したのは金に比べた割安感だ。プラチナの採掘量は金の17分の1。希少性が高く本来は金より高くなりやすいが、15年以降は金高・プラチナ安が常態化。今年は一段安となり、6月下旬に金とプラチナの小売価格(税込み)の差が1500円近くに拡大した。14年4月に消費税が8%に改定されて以降、価格差は最大になった。
「日本人はプラチナが好き」――。海外のプラチナ市場関係者は度々口にする。値下がりで買う個人投資家は日本人が大半だ。欧米では「貧者の金」と呼ぶ銀が好まれる。一時は中国でも宝飾品などでプラチナの人気は高まったが、相場下落とともに関心は薄れた。
英製錬大手ジョンソン・マッセイの藤田幹生シニアマーケットアナリストは「中国は値上がりするモノを買う人が多いが、日本人は相場下落で買う逆張りの傾向が強い」と話す。車向け需要の減少などプラチナ市場では昨今弱い材料が目立つ中、「安値で買う」日本人投資家のぶれない姿勢を浮き彫りにした。
同時に発表された金地金の販売量は1万1559キログラムと前年同期比31.9%増えた。米国の利上げ加速の思惑から金価格が下落し、販売が伸びた。
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