NY金 投機筋の強気姿勢しぼむ
16年ぶり売り越しに
商品先物市場で投機筋の金に対する強気姿勢が急速にしぼんでいる。米商品先物取引委員会(CFTC)によると、投機筋の建玉残高は14日時点で3688枚の売り越しとなった。売り越しに転じたのは16年ぶり。トルコ通貨リラの急落でユーロ安・ドル高が加速。ドルや米国債に資金が流れる一方、金利のつかない金が売られている。
米トルコ関係の悪化でリラが急落すると、トルコ向けに多く融資する欧州金融機関への影響が懸念され、ユーロにも売りが波及した。「安全資産」とされる金は買われず、逆に売りが加速した。
ドルの総合的な強さを示すドル指数は96台と1年2カ月ぶりの高水準で推移。ドルと逆の値動きをする金にとっては下落圧力がかかりやすい。
投機筋は米連邦準備理事会(FRB)による米利上げを織り込む形で、年初から金先物売りを開始。買い越し幅は2回目の利上げが実施された6月以降、急速に縮小していた。
弱気な市場心理を映し、ニューヨーク金先物は15日の終値で1年半ぶりに1トロイオンス1200ドルを割り込んだ。日本時間20日夕時点で1195ドル前後で推移している。
当面1100ドル台後半から1200ドル程度で推移しそうだ。市場では「投機筋の売りの流れは一巡しており、膨らんだ売り建玉を買い戻す材料待ちの状態」(金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏)。ただドル独歩高のなかで金の値戻りを期待する声も乏しい。