実は、2019年は“株高・金高”だった

 一般的に、株価が高い時は、金(ゴールド)価格は安いと言われます。

 景気が良い時、企業の業績は好調で株価は上昇、個人の収入も増加。企業の経済活動や個人の投資が盛んになり土地の価格も上昇。物価安定の責を負う中央銀行は、適度に金利を引き上げたりします。

 随所でお金の巡りが良くなる好景気においては、株式や不動産投資が活発化し、貯蓄するにもメリットが生じます。この時、金利がつかない金(ゴールド)を保有するメリットは、なかなか見当たりません。“株が高い時に金は売られる”と言われるのは、このようなことが背景にあるわけです。

 逆もしかりで、景気が悪い時、“株が安い時に金が買われる”と言われます。

 多くの経済関連の書籍には、このようなことが書かれています。非常に連想しやすいことも手伝い、この“株と金の逆相関の法則”が否定されることはほとんどありません。

 ただ、2019年、この法則は、部分的に当てはまったものの、全体的には当てはまりませんでした。短期的には“株高・金安”“株安・金高”の逆相関となる場面は見られたものの、以下のとおり、2019年は、株も金も20%前後の上昇となり、年間を通じてみれば、“株と金の逆相関の法則”が否定されたわけです。

 図:NY金とNYダウの値動き

出所:CME(シカゴ・カーマンタイル取引所)およびNYSE(ニューヨーク証券取引所)のデータをもとに筆者作成

 2019年に起きた“法則の否定”を見過ごせないのは、2020年の金価格の動向を考える上で重要な事実だと考えるからです。