世界の金需要11%減 4~6月 WGC調べ
コロナで宝飾需要減 ETFは大幅増
金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)がまとめた2020年4~6月期の世界の金需要は前年同期比11%減の1016トンとなった。コロナ禍でのロックダウン(都市封鎖)の影響で各国の宝飾品需要が軒並み落ち込んだ。金を裏付け資産に持つ上場投資信託(ETF)が大きく伸び、需要減を一部補った。
宝飾品の需要は同53%減の251トンと、2四半期連続で過去最低を更新した。金価格の高騰もあって消費者の購入意欲が鈍った。各国中銀の金買いも減少。購入量から売却量を差し引いた純購入量は同50%減の115トンとなった。工業用需要も67トンと同18%減った。
一方、金への投資は大きく伸びた。ETFや地金・コインなどを含む金への投資需要の累計は同98%増の583トンとなった。けん引役となったETFを通じた金需要は434トンと同5.7倍に急増した。経済の先行き不透明感が強まる中、安全資産としての需要が高まった。各国の低金利や財政悪化で、将来的な通貨価値の低下や物価の上昇のリスクなどを回避するための買いも入った。
金の国際指標の1つ、ロンドンの現物取引価格は足元で1トロイオンス1900ドル台後半と過去最高値圏にあり、2000ドルの大台が迫る。WGC顧問の森田隆大氏は「ETFなど投資需要の記録的な伸びが金価格を押し上げた」と話す。
WGCリサーチ担当のルイーズ・ストリート氏は「宝飾品などの消費者需要は、今後6カ月間抑制される可能性がある」と指摘する。一方、「経済の不確実性や新型コロナウイルスの感染再拡大といったリスクにより、安全資産としての金には今後も投資家の注目が集まりやすい」とみる。
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