金価格は「上がらざるを得ない」

金価格の高騰が止まらない。8月5日の海外市場では、1トロイオンス=2044.34ドルの高値を付け、国内小売価格も1グラム=7608円の史上最高値を付けている。その後、値を下げる日もあるものの、むしろ、これから買って長期で保有したい人にとってありがたいものとなっている。

7月27日に出版した拙著『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)では、「金1トロイオンス=2000ドルの非常識な未来を読み解く」としたが、タイミングを合わせるように金価格が急騰し始め、あたかも金の先行きを予言していたかのような結果になっている。

筆者は以前から、中長期的なトレンドにおいて金価格は上がらざるを得ず、投資対象に必ず組み入れるよう投資家に勧めてきた。残念ながら実行する投資家の絶対数は限られていたわけだが、その考え方が正しかったことが今まさに証明されている。

拙著で詳しく解説しているが、一般の個人は資産の3分の1程度を金で保有するのがベストだというのが私の考えである。筆者が勧めるように投資を行っていた投資家の資産は、今はしっかりと増えているはずである。

ゴールドのバー、硬貨
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金を買うのは「もう遅い」のか?

金価格が史上最高値を更新し続けていることもあり、筆者のところには最近になってマスコミから取材申し込みが殺到している。

江守哲『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)
江守哲『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(プレジデント社)

かねて金投資の重要性をマスコミやセミナー、私が発行するメールマガジンで訴えてきたが、今年に入るまで反応はさほどでもなかった。ところが、価格が高くなるとこのように問い合わせが増えるものである。

その一方で、別の問い合わせも増えている。それは、「今の価格水準で買うべきか」というものである。すでに史上最高値を更新していることから、多くの投資家は「買いそびれた」「今から買うには高すぎる」などと感じているようである。

また、現在のような市場動向になると、「価格高騰に乗り遅れたくない」との一心で飛びついて買いたくなるものである。このように焦って行った判断は、往々にして失敗に終わるケースが少なくない。

そのため、今回の金価格の上昇も、「投資家は買うのは避けるべき」という結論になりそうだが、本当にそうなのだろうか?