アングル:金価格、下落局面は今後も継続か

アングル:金価格、下落局面は今後も継続か
5月21日、金価格の下落局面は今後も続きそうだ。都内で4月撮影(2013年 ロイター/Yuya Shino)
[ロンドン 21日 ロイター] - 金価格の下落局面は今後も続きそうだ。チャート分析を手掛けるアナリストらによると、4月の安値である1オンス=1322ドルを下回れば、2010年半ば以来の安値水準に向けて下落する可能性がある。
先月に2日間で30年ぶりの大きさとなる下げを演じた金の現物価格は、それ以降伸び悩んでおり、先週には4年ぶりの連続下落日数を記録した。
4月の安値が再び近づくなか、過去の価格変動に詳しい複数のアナリストは、金価格は一段安となると見込んでいる。
UBSのテクニカル・ストラテジスト、リチャード・アドコック氏は「もし(4月安値を割り込んで)下落すれば、新たな売り圧力にさらされるだろう。その後は1304ドルを下回り、1161ドル付近に向かうとみられる」と指摘。
コメルツバンクは、従来のネガティブな1カ月見通しをニュートラルに引き上げたものの、アナリストのアクセル・ルドルフ氏は、金価格が1500─1532.20ドル付近にある抵抗線を下回り続ける限り、全体的に見れば引き続き弱含みだと指摘する。
4月の下落は、株高に伴う投資家の金関連投資からの逃避や、米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和政策を縮小するとの見方が強まったためだった。
その際には、重要な節目の1つだった2011年12月の安値1521ドルを割り込んだことで下げが加速。下値を拾う実需筋の動きも見られたが、1オンス=1490ドルを下回るとその勢いが衰えた。
レッドタワー・リサーチのテクニカル・アナリスト、ゲリー・セラヤ氏は「その際の上値は1500ドルにわずかに届かないところで止まり、1522ドル付近を上抜けることはなかった」と指摘。「これは弱気センチメントを計る観点で見た場合、非常に重要なことだ」と述べた。
<ぜい弱性>
金価格は2011年9月の過去最高値から2割強も下落しており、地合いは弱く、年初来でも18%強下げている。もし金価格が1675ドルを下回って今年を締めくくれば、2000年以来で最大の年間下落幅となる。
4月の下落で、それまでの過去18カ月のレンジ相場から抜けた半面、2001年の250ドルから2011年の過去最高値1920.30ドルまでの長期的な上昇トレンドが完全に否定されたわけではない。
クリフ・グリーン・コンサルタンシーのクリフ・グリーン氏は今週、ロイター・グローバル・ゴールド・フォーラムで、「タイムフレームの観点からふたつのトレンドラインを設けている。一つは1100ドル付近にあり、これを下回れば800ドル近辺を試す可能性がある」と述べた。
1322ドルを下回るところにある直近の支持線は1301─1308ドル付近にみられる。
ただ、ここ数カ月で金価格が下落傾向にあることは、金価格の脆弱(ぜいじゃく)性を示している。
UBSのアドコック氏によると、月間ベースの金価格のMACD(移動平均収束拡散法)指標は、2001年12月頃以来初めてゼロラインを下回っており、下落局面が一段と長期化する可能性を示唆しているという。
(Jan Harvey記者;翻訳 川上健一;編集 田中志保)

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