2021年10月18日月曜日

 円が圧倒的な弱さを見せています。

MUFJはレポートの中で、
コモディティ価格上昇に伴うインフレ期待の上昇と日本の実質金利の低下が
円安の背景にあると分析しています。
※実質金利=名目金利-インフレ期待

これはBEI(ブレークイーブンインフレ率)=期待インフレ率
(10年利付債の流通利回り-10年物価連動債の流通利回り)


このチャートは9月末までしか表示されていないのですが
10月以降もっと上がってます。
要するにインフレ警戒が強まってきたってことが
このところの円安の原動力である、という見方ですね。

ドル金利上昇につれてドル高なんじゃないの、という指摘も合ってます。
ただ、その場合はドル円だけですね。
今は、ユーロ円も豪ドル円もキウイ円もポンド円も~クロス円が軒並み高い。
つまり、円が全面安って状況になってきています。
これは円の名目金利はYCC(イールドカーブ・コントロール)政策によって
0%近傍に固定されているのに期待インフレ率がどんどん上がっていくから
実質金利がマイナスに沈んでいっている、ということであり、
またドル以外の名目金利もインフレ警戒からどんどん上がっているためです。
日本の金利だけが政策で上がらないので、まあ金利差から円安になるのは当然ね。

※主要国2年債利回り


このことから考えると
現在の円安のトレンドが終焉する条件は

①インフレ期待の後退
②日本以外の国の金利上昇が止まる

上記2点になります。

今、インフレ警戒が強まっている背景は、
なんと言ってもコモディティ上昇でしょうから
原油や天然ガスなどエネルギー価格高騰が沈静化しないことには…
ということになりますが
この冬はラニーニャ現象によって日本は厳冬となりそうなので、
しばらくはエネルギー価格が崩れることはなさそう・・・。

ラニーニャ現象が発生、エネルギーや食料供給は一層ひっ迫へ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-14/R0Z0UFT0G1LL01
米気候予測センターが発生を確信、少なくとも来年2月まで続く公算
米カリフォルニア州や南米で干ばつ悪化、米国と日本など厳冬の恐れ

この秋ラニーニャ発生か 西日本を中心に寒く、大雪も

https://news.yahoo.co.jp/byline/katayamayukiko/20211016-00263404
寒気の影響は西日本を中心に強く、日本海側は大雪のおそれ

※WTI原油


※銅先物価格 銅価格も反発しだした。
LME銅価格、1万ドル突破-指定倉庫の在庫が1974年以来の低水準
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-15/R10FRJDWX2PY01
LME指定倉庫の銅在庫は今月89%減少。
銅の在庫は他の取引所や私設倉庫でも急速に減っている。

エネルギー転換にはスマートグリッド(次世代送電網)や
風力タービンなどの環境インフラが不可欠
銅はアルミニウムの約2倍の導電性があり
発電設備に必要なエネルギー消費量を低減できる性質もあることから
需要が高まっています。
電気自動車にはかなりの銅線が必要ですし
地下の送電線の材料にも多く用いられています。

需要はこれからどんどん増すばかりですが
チリの銅鉱山では8月にストライキのニュースがありました。
続報がないのですが、生産(供給)に問題があるのかも・・・。

というわけでコモディティ高は続きそう。
つまり円安のトレンドは続きそうだってことです。

ただ、CMM通貨先物市場での円ショート(ドルロング)が
積み上がっているのがやや気になりますが(7.6万枚ドル買越し)
まあ、過去最高のネット円ショートは07年18.8万枚ですので
本物のトレンドなら7万枚くらいのポジションでひっくり返ることはないか。

※CME日本円通貨先物の投機筋ポジション


https://moneyworld.jp/tools/usd_position_statistics
(QuickMoney)

日本の個人投資家はむしろ円ロングになっちゃいました。
このドル円上昇局面でドルを売っています。

※店頭FXとくりっく365の個人投資家ポジション
くりっくの投資家って随分長いこと円ロングなんですね・・・・


それから、まだまだドル高が進行しそうだな、、、というニュースがこれ。

EXCLUSIVE China looks to lock in U.S. LNG as energy crunch raises concerns- sources
https://www.reuters.com/business/energy/exclusive-china-looks-lock-us-lng-energy-crunch-raises-concerns-sources-2021-10-15/
中国エネルギー企業がLNGの長期供給を確保するため
米国輸出業者と協議進行中。数百億ドル規模の取引になる可能性。

米中新冷戦とかなんとか言ってますが、
中国は対立する豪州からの石炭輸入も再開せざるを得ないくらいに
電力に逼迫していますが、米国からもエネルギーを確保する動きに。

[FT]電力危機の中国、豪州炭の輸入をひそかに解禁
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB060PR0W1A001C2000000/

これは人民元売り、米ドル買い(豪ドル買い)の連想に繋がりますね。
元安ドル高がここからさらに進むなら、全般ドル高気味となりそうで
その場合、ドル円上昇の材料にもなりそうです。

また、先週の米国大手金融会社の決算が軒並み良かったことや
生産者物価指数が予想を下回ったことなどへの安心感からか
米国株は軒並み急反発で50SMAを超えてきました。

9月米卸売物価指数(PPI、前年比) +8.6%、予想 +8.7%
9月米PPI食品とエネルギーを除くコア指数(前月比) +0.2%、予想 +0.5%
9月米PPI食品とエネルギーを除くコア指数(前年比) +6.8%、予想 +7.1%

※S&P500 

ただ50SMAの角度は完全に横ばいですので
今年の高値超えとなるかどうかはわかりません。
50SMAに絡むレンジ相場となる可能性も大きいのでは?

これはオニールの空売りのテクニックから抜粋
あまりにも有名な空売りの急所、下落のパターン


急落前の高値にあまり過熱感がなかったので、
このパターンとはやや異なるかもしれませんが、、、。

中国恒大集団。

恒大、利払いできず 不動産業界に懸念広がる 中国
https://news.yahoo.co.jp/articles/f8e334ca4039a1b5917f8930af605cf22c1970b0

ほぼデフォルト状態ながら、1回目の利払いから30日の猶予、というのが
リスクを先延ばしにしていただけなら、今週は注意が必要になります。

恒大の最初の未払いが9月23日でした。
その30日後、、、ということで10月18~19日が焦点となるとの見方。
ん~どうなるのかさっぱり検討がつきませんが、
あまりに市場がこの問題を軽視し始めたのが気になりますね。
先週の米株高、日本株高に安心して高値で飛び込まないように。

私の日経ロングは継続ですが
先週末に向けての高値を買う気にはなれません。
もう一度下落して押し目があれば買い増そうかとは思いますが・・・。
日本株は衆院選に向けての上昇期待はありますので。

インフレとかスタグフレーションとか、そういう懸念を株式市場が
織り込むのはもうちょっと先じゃないかな・・・。

ポジションは全て継続。
ポンド円151.60円L
カナダ円 88.20円L
豪ドル円 80.74円L
ドルカナダ1.2626ドルS(カナダロング)
日経平均CFD27410円L 

押し目を待てずに
高いところでキウイ円を80.12円で買ってしまった・・・。
これ以上ポジションは増やしません💦

**********今週の主な予定**********
18日(月)
中国GDP(第3四半期)
中国小売売上高(9月)
中国鉱工業生産(9月)
ミネアポリス連銀総裁、講演
カンザスシティ連銀総裁、講演

19日(火)
衆院選公示(31日投開票)
ベイリー英中銀総裁、講演
アトランタ連銀総裁、イベント参加
ボウマンFRB理事、サンフランシスコ連銀総裁、イベント参加
中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会(23日まで)
グローバル・インベストメント・サミット(GIS)開催

20日(水)
英消費者物価指数・生産者物価指数(9月)
米地区連銀経済報告(ベージュブック)
シカゴ・アトランタ・ミネアポリス・セントルイス連銀総裁、イベント参加

21日(木)
トルコ中銀政策金利
米景気先行指数(9月)
米新規失業保険申請件数(16日終了週)
米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(10月)
EU首脳会議(22日まで)

22日(金)
日本消費者物価指数(9月)
ドイツ製造業PMI速報値(10月)
ユーロ圏製造業PMI速報値(10月)
米製造業PMI速報値(10月)
サンフランシスコ連銀総裁、講演
APEC財務相会合

先週のひろこのスペシャリストに聞く!は
エコノミスト村上尚己さんにご出演いただきました。

ドル円が113円台まで上昇、市場からは120円を目指すとの声も
聞かれ始めましたが果たして?

FRB米国、ECB欧州、BOE英国、RBA豪州、BOJ日本の
金融政策の現状と今後、そして為替市場を展望頂いています。
【ひろこのスペシャリストに聞く!】
エコノミスト 村上尚己さん登場。

<米・欧・英・豪・日>
『ドル円はどっちだ?!各国金融政策の大転換』
https://youtu.be/SOSGsKX4cmU


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https://twitter.com/hirokoFR

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