2023年3月13日月曜日

雇用統計どころじゃありませんでした。
米銀破綻でリスクオフ相場到来。

米連邦預金保険公社(FDIC)は10日、
シリコンバレーバンクが経営破綻し事業を停止したと発表。

3/8に発表された資本増強策をセットにした含み損処理が破綻のきっかけ。
一気に信用不安が高まりわずか2日で破綻に追い込まれました。

SVB株価 9日の急落。前日比60%安 10日取引停止。

月足でみると・・・ああ、典型的なバブル崩壊チャート
コロナ禍、評価され過ぎましたね。

ここまでにわかっていることをまとめると・・・
■SVBはテクノロジーのスタートアップ向け金融サービスに特化、
 22年末時点の総資産は約2090億ドル(約28兆2000億円)
 預金規模は約1754億ドル ➡資産規模で全米第16位の銀行

■SVBの預金1750億ドルに対し有価証券は1215億ドル、
 その内90%が米国債、政府証券。
 ➡急ピッチな金利上昇で債券価格が下落、巨額の含み損が発生。
 ➡SVBのビジネスモデルはスタートアップ企業への融資。
  コロナ禍、SVB預金量は3.4倍に急増するも預貸率は40%程度に低迷、
  資金の大半が債券運用に回っていた。

■FDICは25万ドル(3375万円)までしか預金保護をしない
 ➡SVBの国内預金の93%あまりは昨年末時点で「保険対象外」
 ➡SDICは早ければ13日に呼吸アクの保険対象預金の一部返還を目指す
 ➡当初の支払いは保険対象外預金の50%以上の数字が水面下で検討されている
 
 ➡シリコンバレーではSVBに口座を持つスタートアップ企業が何千社と存在
 ➡25万ドルの預金保護では資金の流動性が絶たれ給料が払えない
 ➡従業員の大量解雇、経営破綻のリスク
 ➡米国のスタートアップ、テクノロジー成長に大きな打撃

■米当局はSVBを、部分的にでも13日までに売却できないかどうか検討
 ~月曜までに買い手が現れると思えませんが、、、
 ~部分的売却で買い手が出てくれば事は沈静化するか?

■SVBは中国やデンマーク、ドイツ、インド、イスラエル、ウェーデンにも支店が。
 ➡英国ではハイテク企業約180社の経営トップが英財務相に書簡
 ➡ビジネスモデルは日本の地銀と似通っており、金融庁も警戒を強めている
  (地銀が国内外の債券で抱える含み損は22年12月末時点で3兆円程度。
   日本は株価が堅調で保有株式の含み益と相殺すれば
     有価証券全体はプラスを確保
   しかし株価が下落すれば有価証券リスクが顕在化(対岸の火事ではない)
   
要約すると
FRBの急ピッチな利上げの影響で
SVBが運用していた債券価値が低下、巨額含み損が明らかとなりSVBが破綻。
スタートアップ、テック企業の預金の大半が保護されていないため
大量解雇、破綻のリスクがある、ということですが、
問題はこれがSVB1行だけで済むのかどうか。

アミンさん@aminimazによると
https://twitter.com/aminimaz/status/1634447067367231488
今週米国のS&P地銀指数143銘柄全て下落。平均下落率は12.5%。SIとSVB以外でも3割~5割下がった大手地銀もある。セクター全体で4.5兆ドルの預金(米国の2割強)
すでに市場の不安は銀行株全般の売りと言う形になって表れています。
SVBはS&P500銘柄でもあり、インデックス運用社への打撃もあるでしょう。

現時点ではまだSVB事業の買い手が見つかっていません。
預金保護について特例で救済措置があるのか?

買い手が現れない、預金において救済措置が出てこない、となれば
スタートアップ企業がバタバタと倒れる可能性があり、
それを見た投資家らは、金利上昇で巨額損失を抱えているのは
SVBだけではないのでは?という不安に加え、救済がなされないという不安から
地銀など金融セクターから一気に資金を引き上げる可能性があり、
これが信用不安=システミックリスクの始まりだった
ということになりかねません。
となればこれはリーマンショックと同等のリスクです。

つまり、FDICの舵取りが今回のリスクをここで止められるか
更に拡大させてしまうかの鍵を握っているとも言えるでしょう。

またアミンさんがツイートで指摘していたように
今回の金利急低下=債券価格上層で銀行が抱えていた有価証券含み損が
軽減されていると推測されることが小さな救いではあります。

が、今回の件の救済がうまく行けば、
落ちた分の金利は急反発するでしょうから
あまり意味はないかもしれません。
この一時的な債券価格上昇時にうまく損失減価に動ければいいですが。

※米国債利回り 金利急低下
※S&P500
※日経平均 
捨て子線示現 せっかく三角持ち合いの上値抵抗を抜けたばかりでしたが
これは騙しだった、ということになりそうです。

※TOPIX こちらも捨て子線示現 少なくともトレンド支持線まで落ちるか
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そして、大きく動いたのがUSDC

USDCとはステーブルコイン。
※ステーブルコイン=1 USDCをいつでも$1.00に交換できる=ペッグ
USDCは流通量約410億ドルでステーブルコインで2番目に大きい。
これが暴落しているのです。

●USDC、ドル・ペッグを維持できず-SVBに33億ドルの準備金
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-03-11/RRC8GOT1UM0W01

ステーブルコインを運営するサークル・インターネット・ファイナンシャル
が発行したUSDCの裏付けとなる準備金約400億ドル
(約5兆4000億円)のうち、33億ドル(約4455億円)がSVBにある。

ああ、ステーブルコインを発行したサークル社の資金もSVBにあったのね。

保管してた400億ドルのうち、33億ドルが取り出せない。
しかし1USDCを1ドルと交換するというのがステーブルコイン。
ステーブルの裏付けの400億ドルのうち33億ドルが取り出せなくなった。
取り付け騒ぎが起きた時にサークル社は33億ドル分これを履行できない。

となると、投資家は我先にUSDCを米ドルに交換、資金を引き上げようとする、
あるいはUSDCを保有している投資家は市場でUSDCを売却する、
という行動に出るわけで、USDCの価値が下がり1ドルから乖離してしまった。

逆に考えると
暴落したUSDCを買ってサークル社に持ち込めば1ドルで交換してもらえる。
これがUSDCを発行したサークル社の責務なので
USDCは応じなくてはなりません。
となるとサークル社のドル資産はどんどん引き出されていくわけで
USDCというステーブルコインを発行したサークル社も破綻の危機です。

第1位のステーブルコインTetherの裏付けとなる資金がないのでは?という
懸念が広がったことがありますが、今度は2位のUSDCの価値の崩壊の懸念。

これはDefi市場が縮小する危機でもあります。
ひいては仮想通貨市場にとって大きな打撃となってくると推測されます。

DeFi(Decentralized Finance、分散型金融)
ブロックチェーンを基盤にした
中央集権的な管理者を必要としない金融サービス。
イーサリアムチェーンを中心に様々なブロックチェーン上で展開。

DeFiの根幹、三種のステーブルコイン| Pontem Network
https://pontem.network/posts/definogen-gan-san-zhong-nosuteburukoin-pontem-network

SVB破綻は仮想通貨市場にも思わぬ悪影響を及ぼす可能性があるのです。

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そして先週はもう1件破綻のニュースが。

■仮想通貨のシルバーゲート銀行が事業閉鎖、FTX破綻の余波で
https://forbesjapan.com/articles/detail/61514
仮想通貨(暗号資産)分野に注力し、苦境に陥ったシルバーゲート銀行の持ち株会社
「シルバーゲート・キャピタル」は3月8日、銀行業務を終了し、任意清算に踏み切ると発表。
➡大手取引所のFTXの破綻と同時期から顧客の資金引き出しが加速
➡保有資産は、米国債や政府機関発行の住宅ローン担保証券(MBS)

ああ、ここでも米国債やMBSなどの保有債券の損失が影響していたか。
そして、シルバーゲート破綻の影響は?

●シルバーゲート銀行の事業停止、仮想通貨業界に与える影響は? 業界関係者らが予測
https://jp.cointelegraph.com/news/crypto-industry-braces-for-impact-with-silvergate-exit
シルバーゲートは、金融機関向けの仮想通貨-法定通貨のゲートウェイネットワークとして、
米国における仮想通貨の重要なオンランプとなっていた。
➡「膨大な数のマーケットメーカーと取引所」に影響を与える
➡仮想通貨企業と提携する銀行はまだ少ないため、
 シルバーゲートが業務を縮小すれば、業界におけるリスク集中も高まる
 
そしてこの記事で仰天の数字を見つけました。

●シルバーゲート危機、暗号資産だけが問題ではない
https://jp.wsj.com/articles/silvergates-story-is-about-fundamentals-not-just-crypto-a731eafa
FDICによると、銀行業界は第4四半期(10-12月期)時点で
約6200億ドル(約84兆円)の有価証券の含み損を抱えている。

え~銀行業界の有価証券含み損規模84兆円ですって?

これ12月末時点でです。
これはさらに拡大していると思われます。
だって金利が上がっているもの。

要するに、今回の危機は
FRBのあまりに急ピッチなり上げがもたらしたのは明白。
それによって伝統的な安全資産であるはずの債券価格が急落してしまった。

シルバーゲートは高リスクの融資や複雑なデリバティブなどの
不良債権を保有していなかったのです。

これは今後のFRBの利上げが慎重となってくる可能性がありそうです。
つまり、米金利は想定以上には上がらない。
ということはドル高のトレンドは終わるのではないでしょうか。
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SVBの件があって米雇用統計の関心は低かったですね。

米2月雇用統計・NFPは食品サービスが支え堅調も、失業率は解雇者増で上昇
http://mybigappleny.com/2023/03/11/jr23feb/ (安田佐和子氏)
NFPは31.1万人増と市場予想超え
・ただし、製造業のほか金融含めサービス業は4業種で減少
・失業率は上昇、自発的離職者数や解雇者数が増加

雇用統計発表直後ドル売りが加速していったのには???でしたが
NFPが予想より強かったとはいえ、失業率は上昇。
賃金の伸びは0.2%(予想0.3%)にとどまった。

3月0.5%の利上げというのはないんじゃないの?
と思うのですがFedWatchを見るとまだ先物市場では
3月FOMCでの0.5%利上げを折り込んでいるんですね。
ただし、ちょっとこれ、壊れてる。。
11月の金利折込が6.25-6.5%にすっ飛んでるし
9月は5.0-5.25に低下しているし。

金融市場が混乱している状態で、これは全くアテになりませんね。

ドル円 やはり200SMAで頭打ちか。

ドル円135.95円
豪ドル円89.94円 で売り参戦。

ダウCFDを32350ドル
NASDAQを12045ドルで売り参戦

リスクオフ相場が本格化すると、資産を売ってキャッシュ化する動きが
拡大し、ドル需要が高まることからドル高になる可能性もあります。
その場合はドル円は動かないかも。
日本勢がキャッシュ化する時は円に戻す円需要の高まりから
円買いが旺盛になるためです。
リスクオフはドル高であり円高であるため、
ドル円はあまり動かなくなることがありますが
クロス円が大きく崩れます。
ということで豪ドル円も売り参戦しています。

**********今週の主な予定~米CPIにECB理事会***********
3/13(月)
●1-3月期法人企業景気予測調査(8:50)
●インド 2月消費者物価(21:00)

14(火)
●●米 2月消費者物価(21:30)

15(水)
●2月訪日外客数(16:15)
●春闘集中回答日
●中国 2月小売売上高(11:00)
●中国 2月工業生産(11:00)
●中国 2月都市部固定資産投資(11:00)
●米 3月 NY 連銀製造業景気指数(21:30)
●米 2月小売売上高(21:30)
●米 2月生産者物価(21:30)
●米 3月 NAHB 住宅市場指数(23:00)
●米 1月対米証券投資(16日 5:00)
●米国国際貿易委員会(ITC)、対中追加関税の米国産業に
対する影響に関する報告書の議会提出期限

16(木)
●2月貿易収支(8:50)
●1月機械受注(8:50)
●2月首都圏新規マンション発売(14:00)
●NZ GDP(第4四半期)
●豪州 2月雇用統計
●●ECB 定例理事会(ラガルド総裁会見)
●米 2月輸出入物価(21:30)
●米 2月住宅着工件数(21:30)
●米 3月 NY 連銀ビジネスリーダーズサーベイ(21:30)
●米 3月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数(21:30)

17(金)
●1月第三次産業活動指数(13:30)
●米 2月鉱工業生産・設備稼働率(22:15)
●米 2月景気先行指数
●米 3月ミシガン大学消費者マインド指数(23:00)
●OECD経済見通し
天然ガストレード人気が高まっています。

何故今下がっていて、
いつ頃どんな理由で動き出す可能性があるのか?
リスクファクターは?

天然ガスの基礎から価格変動要因まで、
エネルギーアナリスト、
ポスト石油戦略研究所代表 大場紀章氏に解説いただきました。

<注目の天然ガス、知っておくべきこと>
『天然ガスの基礎から価格変動要因・今後の動向まで』
https://youtu.be/3EL83pGQhvs


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