2024年5月6日月曜日

 先週は、週明け29日月曜(祝)に
日本の通貨当局による円買いドル売り介入によりドル円相場が
160円をピークに下落基調となりましたが、
5/1(水)のFOMCが市場が警戒するほどタカ派的でなかったこと、
5/3(金)の米4月雇用統計が予想を下回る結果だったことで
米金利が急低下、これが介入の効果をより高める結果となりました。

日米金利差が縮小しないファンダメンタルズの中では
いくら介入を繰り返しても結局は
ドル買い円売りトレンドに回帰してしまうだろう、
ということで、介入があったらドル円を買おうと
構えていた向きも多かったはず。

しかし、ドル金利が低下し
日米金利差が縮小し始めるというなら話が変わってきます。

5/1【5月FOMC】
・6月からQTのペースを減速させることを決定
 ~米国債の償還を月当たり最大600億ドルから同250億ドルに減らす
 ~バランスシート縮小(引き締め政策)のペースを緩める=ハト派的
・パウエル議長「次の政策変更が利上げとなる可能性は低い」と発言
 ~インフレ再燃から一部に利上げ警戒があったが議長が明確に否定
 
5/3【4月米雇用統計】
■米雇用者数、6カ月ぶりの小幅な伸び-失業率は予想外に上昇
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-03/SCWTGMT0AFB400?srnd=cojp-v2

・非農業部門雇用者数:+17.5万人(予想+24.0万人  3月+31.5万人←+30.3万人)
       失業率:3.9%(予想:3.8%、3月:3.8%)
      平均時給:前年比+3.9%(予想+4.0% 3月+4.1%)
          :前月比+0.2%(予想+0.3%  3月+0.3%)
~NFPは2023年10月以来の低い伸び:失業率予想外の上昇

加えて、雇用統計の発表後23:00に発表されたISMを非製造業景況指数が
予想を下回ったことも米金利低下に拍車をかけました。

■5/3【4月ISM非製造業景況指数】
    結果:49.4(予想:52.0/3月:51.4)景気の分水嶺50を下回る
 
先週は5/1に発表された 製造業の景況指数も悪化していました。
■5/1【4月ISM製造業景況指数】
    結果:49.2(予想:50.0/前回:50.3)景気の分水嶺50を割り込む

先週発表されたISM製造業景況指数と非製造業景況指数のどちらも
予想を下回る結果に、さらに雇用統計も予想より悪かった。

ドル金利低下がドル安をもたらしたことが
ドル円相場の再上昇の芽を摘みました。

※米国債利回り

よって、ドル下落は日本円に対してだけではなく
あらゆる通貨に対して先週はドル安となったのです。

※通貨インデックス一覧
もっともホッとしたのは日本の通貨当局でしょう。
神田財務官は「持っている(運が良い)」のか?!
米財務省との緻密な情報交換で米金利が低下するであろうタイミングを
狙って介入に入ったとの憶測もありますね。
雇用統計の数字がよくないことを事前に知らされていたとかなんとか。

※日米金利差とドル円


一連のイベントを通過して市場は9月FOMCでの利下げ開始予想に傾いています。
年内の利下げは1回、もしくは利下げがなくなるかも、あるいは利上げかも、
と恐れていたのですから、ずいぶん元に戻ってきたなと言う印象。
ただ、6月の利下げ折込はほぼありませんね。

※CME Fedウォッチ
このままドル金利が更に下がってくれるなら、
ドル円相場も更に下落する余地があるのですが、
なにしろ米国のインフレ率は再燃の兆しがあり、
金利がこのまま下落を続けるとも思えません。
今後出てくる米指標次第ですが。

ドル円相場はチャート的に、
一度下げ止まるレベルまで一気に下落しました。
151.85円まで下落し、152円を瞬間割り込みました。
しかし、NYクローズにかけてはリバウンド、152.92円で引けています。

※ドル円日足 152円割れるも下ヒゲをつけて反発
152円というのは介入警戒が強くなかなか突破できずに
もみ合いが長期化したレベルです。
過去に長期にもみ合った水準というのは抵抗になりやすい。
このレベルを突き抜けて下落するにはさらなる米金利低下か
押し下げ目的の介入でもなければ難しいでしょう。

ただし、為替の水準を押上げる、押し上げる目的での介入はタブーですから
(あくまで過度な値動きを抑制する目的のスムージングに限って黙認される)
さらなる介入による152円台割れはないと思われます。多分。

※再びドル円相場が160円を目指す展開となるようなら、
 再度の介入の可能性はありますが
 160円から152円まで下落した今、
 押し下げ目的での介入は容認されないということです。
「介入はまれであるべき」です。(イエレン財務長官)
ただ神田財務官は何をするかわからない不気味さはありますが・・・
 
※ドル円15分足 ここまで下落したドル円、ダメ押しの介入はないはず?
5/5 米財務長官、為替介入「まれであるべきだ」-慎重姿勢示す
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-05/SCZL3KDWRGG000
・イエレン財務長官、あらためて介入は稀であるべきと発言。
・円相場は「比較的短期間にかなり動いた」と述べ、
 「こうした介入はまれであるべきで、協議が行われることが期待される」と付け加えた。

では今週からのドル円相場を動かす材料は?
大きな材料が出てしまって今週はあまり材料がないんですよねぇ。。。

要人発言が多いので、要人らがインフレ警戒を強めるような
タカ派トーン強めの発言をするならドル金利が反発しドル買いに戻るかも。

4日:クックFRB理事講演
6日:ウィリアムズ米NY連銀総裁イベント参加、
  バーキン米リッチモンド連銀総裁経済見通しに関する講演、
7日:カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁がイベント参加
8日:クックFRB理事半年に一度の金融安定報告に関し討論
9日:週次新規失業保険申請件数
10日:ミシガン大消費者信頼感、グールズビー米シカゴ連銀総裁講演

155.40円近辺からのドル売りポジションは
週末152.52円で買い戻しました。現在ノーポジです。
週明けからはドルロングにスタンス変更しようかと思っています。
152円を明確に割り込んだらやはり目線は下、戻り売りですが
152円を割り込まずにいるうちは反発モードではないかと思っています。

ただし再び160円を超えることは難しいと思いますので
(本気の介入と、ドル金利低下でドル円はトップアウトしたと思います)
リバウンドを取るというトレードの範囲です。

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しかし、米金利が下がると株は買われますね。

米国株は押し目完了で再上昇の機運にあるように見えます。
となると、インフレはなかなか鈍化せず、ということになりますが・・・。

※米国主要株価インデックス
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さて、今週は豪州や英国の金融政策にも注目です。

6日(月)
こどもの日振替休日で東京市場は休場
中国財新非製造業PMI(4月)
FRB四半期上級融資担当者調査

7日(火)
豪小売売上高(第1四半期)
★★豪中銀政策金利会合、最新四半期経済見通し
 ・現在の政策金利 4.35% 今回据え置き予想(3会合連続据え置いている)
 ・Q1CPIが予想に反し上昇(前期比1%上昇)
 ~Q1のインフレ再燃から利下げ開始時期が遅れるとの予想 11月か?
 
ユーロ圏小売売上高(3月)
米アップル特別イベント開催

8日(水)
日本10年利付国債入札

9日(木)
日銀主な意見(4月25日-26日開催分)
日本実質賃金(3月)
中国貿易統計(4月)
★★英中銀政策金利会合、インフレ見通し含む四半期経済予測
■英中銀総裁の利下げ方針、FRB議長とは一線画す公算-9日政策決定
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-05/SD070JDWRGG000
・金利据え置く公算
・今夏に利下げする方針かどうかについて、より明確なシグナルを示す可能性
・市場の利下げ開始予想は9月、年内利下げ回数折込は1回

10日(金)
日本30年利付国債入札
英GDP速報値(第1四半期)
ECB議事録(4月11日開催分)
米ミシガン大学消費者信頼感指数(5月)

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