田中貴金属工業はこのたび、1月から6月までの資産用金地金、プラチナ地金の販売量と買取量をまとめた。

金地金レビュー

前年同時期と比べ価格は下がるも、消費増税後の反動も影響し販売量は減少(価格はすべて税抜き小売価格)

金地金において、1月~6月における国内平均価格は4297円/gで、前年同時期(2013年1月~6月)の平均価格4709円/gを約400円下回った。

2014年の金価格は、1月29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)による量的緩和追加縮小が決定されると、新興国からの資金流出による通貨安やそれに伴う新興国経済への不透明感などを背景に上昇。2月以降も、ウクライナの政情不安深刻化による地政学的リスクにより金価格は上昇し、3月17日には国内価格も今年最高値となる4563円/gをつけた。その後、金価格は、ウクライナ情勢の緊張緩和やロシア軍の撤収発表、6月には欧州中央銀行(ECB)の主要政策金利引き下げなど追加金融緩和を決定したことによるユーロ安ドル高の影響などで徐々に下落したが、イラク情勢の悪化懸念による地政学的リスクの高まりなどにより下支えられ、6月の月平均価格は4239円/gとなった。

1月~6月における金地金の販売量は、前年同時期(2013年1~6月)と比べ、22.6%減少、買取量は前年同時期t(2013年1~6月)と比べ、46.4%減少した。前年同時期と比べ400円以上価格が下がりながらも販売量が減少していることは、消費増税の影響もあることがうかがえる。また、消費増税後にも関わらず、買取量も減少していることから、一般に長期的な資産形成としての金保有という認知が浸透していることがうかがえる。

今後は、中東やウクライナにおける地政学的リスクの状況や、インドの金輸入規制緩和の方針、米国の利上げ時期などに市場の注目が集まることが予想されるとしている。

プラチナ地金レビュー

価格は高値圏で推移するも、値動きが落ち着き取扱量は様子見の傾向(価格はすべて税抜き小売価格)

プラチナ地金において、1月~6月における国内価格の平均は4796円/gで、前年同時期(2013年1月~6月)の平均価格の4848円/gを約50円下回った。

2014年のプラチナ価格は、南アフリカ鉱山会社での労働争議を要因とした供給不安や、ウクライナ情勢の緊迫化を背景に、ロシアで多く生産されプラチナの代替素材として自動車触媒に使用されるパラジウム相場の上昇により価格を上げ、3月7日に国内価格は今年最高値となる4964円/gをつけた。3月以降、米国の早期利上げ観測の高まりなどを背景に一時値を下げたが、ウクライナ情勢における緊迫化の継続や南アフリカ鉱山会社での労働争議の長期化により再び値を戻した。その後、ウクライナ情勢の緊張緩和やロシア軍の撤収発表、南アフリカ鉱山会社の労働争議終結に向けた動きなどを背景に上値を抑えられたが、プラチナ触媒を多く使用するディーゼル車需要の高い欧州の自動車販売数や、アメリカ自動車販売数など回復の兆しを見せる実需に下支えされ高値圏で小幅に推移。5月、6月ともに月平均価格4825円/gとなった。

1月~6月におけるプラチナ地金の販売量は、前年同時期(2013年1月~6月)と比べ38.9%減少、買取量については、前年同時期(2013年1月~6月)と比べ36.9%減少した。プラチナ価格が、高値圏で比較的落ち着き、値動きがとぼしいことにより販売量、買取量ともに減少していることから、一般顧客は市場を様子見していたことがうかがえる。

今後は、ディーゼル車需要の高い欧州や米国の景気回復による需要動向や、長期間続いた労働争議の影響による供給動向、今年9月以降に導入予定のユーロ6を初めとした世界的な排ガス規制強化の行方などに市場の注目が集まる事が予想される。

田中貴金属工業では、資産用貴金属に関する正しい情報の提供を、今後も継続して行っていくという。また、価格変動リスクを避け、より安定した価格で少額から積み立てることができる、貴金属積立を利用した分散型資産形成に関する啓発活動を強化していくとしている。