ビジネス

イスラム国 紙幣も偶像と位置づけて廃止し金貨や銀貨を発行

 ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏は、2014年暮れから正月にかけて約10日間で訪れたイラクの難民キャンプで、イスラム国によって家族を奪われ、生活を奪われた人たちに数多くであった。イスラム国とはいったい、どんな存在なのかについて、鎌田氏が解説する。

 * * *
 シリアとイラクを広く制圧し、国家という枠を超えたイスラム国──。

 リーダーのアブー・バクル=バグダディーは、自らを“カリフ(最高権威者)”と名乗り、オスマントルコ以来の、政治と宗教が一体となった不気味な“超国家”を造ろうとしている。

 蓄積された資本を“虚像”とみなし、資本主義を打倒しようと叫んでもいる。紙幣も偶像のひとつと位置づけ、これを廃止し金貨や銀貨を発行し始めている。

 またイスラム原理主義にのっとり、制圧した地域ではヤジディ教徒の若い女性を性奴隷としている可能性が高い。

 連中は、ヨーロッパやアメリカが築いてきた資本主義や民主主義に真っ向から対決しようとしているのだ。堕落した欧米型生活を捨て、殉教者になれば天国が待っていると強烈なメッセージを送り続けている。

 そのメッセージは、皮肉にも見事だ。「5つ星の聖戦」などと称し、いかにも闘いに意味があるように吹き込む。万が一、死んでも天国に行けるとそそのかす。

 こうして、閉塞感の中で自分を持て余している若者たちを洗脳し、石油を密売した利益で兵士に給料を払う。“アラブの春”で経済が破たんした北アフリカからは、自分探しの若者や仕事を求める労働者がイスラム国に合流していた。

※週刊ポスト2015年2月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン