華麗な色彩世界、絹谷幸二展

絹谷幸二「黄金雲中都富士」(三越提供)
絹谷幸二「黄金雲中都富士」(三越提供)

 富士山やバラなど自由奔放な作品で人気の画家、絹谷幸二(72)の個展が8日から14日まで、東京の日本橋三越本店で開催される。

 多様な作品の中にあって異彩を放つのが「黄金雲中都富士」。16世紀から江戸時代に制作された「洛中洛外図」風の作品で、金箔(きんぱく)の雲の上には東京スカイツリーと東京タワーが突き出る。雪をかぶった富士山の隣には真っ赤な太陽がギラギラと輝き、生命力がみなぎる。

 俵屋宗達らが描いた「風神雷神図」にも挑戦。画面には風力発電装置などが登場する。風神の風は風力発電に利用、雷神の雷もパラボラアンテナのような装置で吸収。エコの時代を反映し、現代性を感じさせる。

 絹谷は東京芸大卒業後の20代後半、フレスコ画の技法を学ぶためにイタリアへ留学した。本展にはルネサンスの画家、サンドロ・ボッティチェリやパオロ・ウッチェロへささげた奇想天外な作品がお目見えする。

 文化功労者となって初の個展には44点の作品が並ぶ予定。古今東西の美術を引用しながら、華麗な色彩世界を展開する絹谷ワールドが堪能できる。入場無料。問い合わせは日本橋三越本店(電)03・3241・3311。

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