春日大社大修理

朱、金箔、漆…王朝文化の薫りを間近に 本格修理を前に「本殿特別公開」  

【春日大社大修理】朱、金箔、漆…王朝文化の薫りを間近に 本格修理を前に「本殿特別公開」  
【春日大社大修理】朱、金箔、漆…王朝文化の薫りを間近に 本格修理を前に「本殿特別公開」  
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 奈良・春日大社の本殿(国宝)は今、20年に1度の「式年造替(しきねんぞうたい)」で夏にも修理が始まるのを前にご神体が仮殿に移され、「お留守」の状態。そんな間に行われている本殿の特別公開は、本朱や金箔で彩られたお社の美しさを間近から感じ取れる貴重な機会だ。さらに本殿背後に回り、いわれのありそうな謎の白い石にも注目したい。(岩口利一)

 はっとするような赤にきらめく金、艶(つや)めく黒…。通常は入れない場所から本殿を拝観すると、まるで古(いにしえ)の貴婦人を前にしたようで胸がどきどきとしてくる。20年前の造替で塗られた朱は色褪せている部分が多いが、それでもなお優美な姿。今から修理後の艶(あで)やかさが目に浮かぶよう。

 1棟は2~3畳とこぢんまりしているものの、4棟が東西1列に並ぶ姿は壮観だ。

 さて、1棟をじっくり見よう。階段端の板は黒漆(くろうるし)、擬宝珠(ぎぼし)には金箔。そして目に飛び込んできたのは扉の朱。朱色ではなく赤に近い。通常は御簾(みす)が掛けられるのでよく残っているのだが、その御簾も緑青塗りに金具がちりばめられた豪華さ。異変があると国家に大難があるとされる「六面神鏡」(ろくめんしんきょう)も祭られるから日常の本殿は一段と高貴な姿だろう。さらに上を見ると、存在感のある「黄金の樋」が軒を飾り、流麗な檜皮葺(ひわだぶき)屋根の上に交差する千木(ちぎ)が天へとのびていた。

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