スマホから抽出した金を祇園祭の山鉾修繕に 京都市やリサイクル業者が協定

祇園祭の山鉾は屋根や欄縁に金がふんだんに使われている。手前の月鉾は前の部分に金幣を飾っている=平成29年7月17日、京都市中京区
祇園祭の山鉾は屋根や欄縁に金がふんだんに使われている。手前の月鉾は前の部分に金幣を飾っている=平成29年7月17日、京都市中京区

 京都・祇園祭の山鉾(やまほこ)の金を使った装飾品の修繕に、市民から集めたスマートフォンなどの小型家電から回収した金を再利用する取り組みが始まる。リサイクルした金を文化財の修復に活用するのは全国で初めて。早ければ今年7月の祇園祭の終了後から具体的な活用法を検討する。

 京都市が今月、祗園祭山鉾連合会や、金の抽出技術を持つ鉄鋼業者アステック入江(北九州市)などと協定を結んだ。アステック入江が金を抽出し、金工品業者が加工して修繕に用いる。

 現在33基ある山鉾には、屋根や柱、欄縁(らんぶち)などに金工品が使われているほか、金幣(きんぺい)には金箔(きんぱく)が貼られ、山鉾の前後に取り付ける織物にも金糸が用いられている。祇園祭山鉾連合会の岸本吉博理事長によると、祇園祭は疫病退散の祭りで、疫神のご機嫌を取って退散してもらうためにキラキラと光り輝く豪華な装飾を用いるようになったという。

 金具や金工品は経年劣化するため数十年に一度の頻度で修繕する必要があり、国や市の補助を受けながら専門業者に依頼している。

 金を不要になったスマホなどから得られれば、「修復コストが軽減されるだけでなく、より多くの金工品の修復が順調に進む」と岸本さん。平成26年に150年ぶりに巡行復活した「大船(おおふね)鉾」や、今は巡行に参加しない「休み山」だが、近い将来約200年ぶりの巡行復活を目指す「鷹山」などに幅広く活用できるという。

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