写真1 金属から成るM型小惑星プシケの想像図(出所:NASAウエブサイト)

 小惑星イトカワの破片を地球に持ち帰った「はやぶさ」の帰還成功から8年。今年は、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに送り込まれ、観測装置の投下に成功した。

 本体の着陸は延期になったものの、現在のところ、順調に進んでいる。

 太陽系の形成について、多くの情報を与えてくれる可能性のあるリュウグウにおいて、はやぶさが着実に行程をこなしていることは、大きな科学的成果を期待させる。

 かつて、日本の航空宇宙産業にいた筆者としても、日本がこのような探査計画を進めていることは非常にうれしい。

 科学的な成果は置いておいて、小惑星はレアメタルの宝庫であるので、資源採掘の対象にするスペースマイニングという構想がある。はやぶさ計画はその一歩との声もある。

 スペースマイニングは、小惑星のカケラを地球に持ち帰る「はやぶさ計画」を、産業的に利用できるほど大規模にやろうというものである。

 なお、水の採掘を目指すというものもあり、既に設立されているスペースマイニングの企業は水を目指しているらしい。こちらについては別の機会に譲る。

 スペースマイニングが目指すレアメタルの代表はプラチナらしい。プラチナは宝飾・資産用の貴金属であるだけでなく、自動車産業などが利用する触媒の材料にも用いられる大変重要な金属である。

 その一方、プラチナは希少性が高く高価である。また、南アフリカとロシアという少し安心できない国に偏在しているため、常に供給安定性に不安がつきまとう。

 宇宙のプラチナが手には入ればとてもありがたい話である。果たしてそんなことができるのだろうか。