茨城・ひたちなかに「ほしいも神社」 鳥居は黄金色
干し芋の生産量が全国トップの茨城県ひたちなか市に「ほしいも神社」が完成した。23日に竣工式が開かれ、干し芋生産者やサツマイモ農家、ひたちなか商工会議所の関係者らが祝った。大小26基の鳥居は干し芋をイメージした黄金色。全国でも珍しい「黄金の神社」として、新たな観光名所に育てる狙いだ。
同市阿字ケ浦町の堀出(ほりで)神社内に末社として創建した。堀出神社の宮本正詩宮司が3年前に発案し、小池勝利・建設実行委員長、同商議所の鈴木誉志男名誉会頭らの協力を得た。市内外の農家などからの寄付で賄い、起工式からわずか2カ月で完成した。
デザインしたのは同商議所が設けた「ほしいも学校」のプロジェクトリーダーで、数々のパッケージデザインや国立科学博物館のシンボルマークを手掛けた佐藤卓氏。鳥居は朱色でなく金箔を使った黄金色で、大きな鳥居の台座部分を干し芋の形とした。「必要以上にデザインせず、さりげなく干し芋をイメージした」(佐藤氏)という。
干し芋はかつて静岡県が生産量首位だったが、現在は茨城県が圧倒的なシェアを占める。明治期には小池吉兵衛が生産技術を導入し、阿字ケ浦地区に干し芋を広めた。堀出神社は水戸藩主の水戸光圀が古墳を掘った際、ご神体が出土したことから名付けられたとの由来もある。ほしいも神社には小池ら5人を祭る顕彰碑も建てた。
「御利益」は干し芋にかけて「欲しいものはすべて手に入る」。直売所で干し芋を販売し、夜にライトアップするほか、イベントも開く予定だ。宮本宮司は「皆さんの意見を取り入れて面白いことをやり、たくさんの人にお参りしてほしい」と話している。
ひたちなか市は農業のほか、漁業や観光が盛んだ。同商議所は加工量が全国トップクラスのタコを活用したイベントなど産業観光にも取り組んでいる。鈴木名誉会頭は「ひたちなかに干し芋神社というブランド品ができた。観光振興にもつながるはず」と期待している。