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千田北遺跡 信仰豊か 全国初出土「金箔付き笠塔婆」公開

2020年12月22日 05時00分 (12月22日 10時19分更新)
梵字に金箔が施された笠塔婆の一部が並ぶ会場=金沢市上安原南の市埋蔵文化財センターで

梵字に金箔が施された笠塔婆の一部が並ぶ会場=金沢市上安原南の市埋蔵文化財センターで

  • 梵字に金箔が施された笠塔婆の一部が並ぶ会場=金沢市上安原南の市埋蔵文化財センターで
  • 千田北遺跡で出土した鎌倉時代の笠塔婆の復元イメージ図(センター提供)

◇市埋蔵文化財センター企画展
平安から鎌倉「神仏習合伝える」

 金沢市の千田北遺跡で出土した平安末期から鎌倉時代の仏教に関係する品を紹介する企画展「千田北遺跡の信仰世界」が、同市上安原南の市埋蔵文化財センターで開かれている。国内でも同遺跡でしか見つかっていない、金箔(きんぱく)を施した木製の笠塔婆(かさとうば)をはじめ、僧侶の身なりをした神像など六十点を通して、市北部に豊かな信仰の世界が広がっていたことを伝えている。来年三月十四日まで。 (小佐野慧太)
 笠塔婆は、仏などを意味する古代インドの文字「梵字(ぼんじ)」が書かれた板を柱に取り付け、その上に笠を取り付けた供養塔。千田北遺跡では二〇一八年、阿弥陀三尊と呼ばれる阿弥陀如来、観音菩薩(ぼさつ)、勢至(せいし)菩薩を意味する梵字の上に、金箔が施された鎌倉時代の笠塔婆三基の一部が発見された。センターの向井裕知主査は「掘ってびっくり。水がある粘土質のおかげで腐らず、奇跡的にとてもいい状態で見つかった」と振り返る。
 企画展では、保存処理を終えた笠塔婆を初めて一斉に公開した。このほか、十二〜十三世紀の作とみられる僧形神立像は、頭部は僧侶だが、胸の前で腕を組む神像特有のポーズを取っている。向井主査は「神仏習合の時代の信仰の姿を伝えている」と解説する。
 千田北遺跡の近くには、戦国時代に加賀一向一揆の中枢を担った木越光徳寺跡がある。企画展で紹介しているのは戦国時代以前の出土品だが、向井主査は「一向一揆の時代の前から、金沢北部には仏教文化を厚く保護した有力者がいたことが推測できる」と話す。「ぜひ、金沢だけにしかない出土品を堪能してほしい」と来場を呼び掛けている。
 会場では、組み立てると三基の笠塔婆が出来上がるペーパークラフトも無料で配布している。入場無料。
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