金箔 宇宙空間でどうなる 金沢JC 夢のある実験
2023年3月9日 05時05分 (3月9日 10時45分更新)
無事?ぼろぼろ?変色?
今月、米で打ち上げ ISSへ
金沢青年会議所(JC)が、金箔(きんぱく)を国際宇宙ステーション(ISS)にロケットで運び、宇宙空間に数カ月置いて金箔の反応・変化を確かめる実験に挑む。持ち帰った金箔を金沢で青少年教育や産業振興に役立て、宇宙産業を担う次世代の人材育成につなげる。ロケットは今月中に打ち上げ予定で、国内初の試みという。 (高本容平)
「かなざわスペースデリバリープロジェクト」と銘打ち、米航空宇宙局(NASA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)、衛星打ち上げサービスなどを手がける「Space(スペース)BD」(東京)と共同で実施。金箔メーカーの箔一(金沢市)も協力する。
金箔は、およそ千枚を厚紙とともに重ね、縦横、高さ七センチ弱の立方体に仕立てて真空パックに封入。米スペースXのロケット「ファルコン9ブロック5」に搭載された物資の無人補給船「カーゴドラゴン」に積み、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げる。投資額は非公表。
二十四時間ほどでISSに到着後、ロボットアームを使って既に軌道上にある牛乳パックほどの大きさの実験装置に移し、三カ月程度、宇宙線が飛び交う無重力の宇宙空間に置く。実験を終えたのち、再び補給船で地球に帰還。NASAやJAXAの検査を経て、今秋か冬ごろに金沢JCに戻ってくる見込みという。
ロケットの打ち上げに先立ち、金沢JCは八日、金沢市内で会見を開き、小杉龍平理事長が「子どもたちに夢を持たせたい。金沢の持続可能な発展のため、市場の拡大が期待される宇宙産業に挑戦できる次世代人材の育成につながれば」と思いを語った。金箔をどのような教材や製品に仕上げるかは今後検討していく。
オンラインで同席したスペースBDの佐藤正崇さんは「金を宇宙に持って行き、さらした事例はあまりなく、斬新な取り組み。金箔にはハードな実験で、ぼろぼろになったり、色みが変わったりするかもしれないが、どうなるかはこれからのお楽しみ」と期待を膨らませた。
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