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議会の出席時に身分証明として身につける「議員バッジ」を取り巻く環境が変化している。金製が多い中、金価格の高騰を受けて、安価な素材に切り替えたり、改選時の当選者全員への支給を見直したりする動きが出てきた。(大森篤志)
5~6万円に上昇
滋賀県議会は、18金製を金張り加工した銀製に仕様を変更し、4月の県議選当選者44人に交付した。
従来のバッジは1個約2万5000円だったが、県議選前の見積もりで、1個5万~6万円に上昇することが判明。素材を変更した結果、1個約6400円に収まった。県議会事務局の担当者は「見た目は変わらない」と語り、前回に比べ、約200万円の削減につながった。
背景には金価格の高騰がある。金販売・買い取り大手「田中貴金属工業」によると、金の小売価格(税抜き)は、前回統一選があった19年は1グラム4000~5000円台。コロナ禍などで安定資産とされる金への投資が増え、最近は8000円台で推移する。1000円台だった01年に比べ、約8倍の高水準だ。
大阪府議会は4月、府議選の当選者79人に真ちゅう製(1個約3700円)と府産ヒノキをPRするための木製(1個約3200円)の2種類のバッジを交付した。どちらかを身につけ、議会に臨む。
2019年の改選時(当時の定数88)は、14金などのバッジ(1個約2万800円)を全員に配布しており、約130万円の節減につながった。次回府議選からは、初当選者のみに配ることも決まっている。
ベテラン府議は五つ以上を自宅で保管し、当選初期に配布されたバッジを磨いて使っているという。新人の一人は「素材が安くても問題ない」と話した。
金製維持の議会も
一方、金製のバッジを維持する議会もある。
京都、奈良、和歌山の3府県議会は4年前と比べ、京都は1・3倍の約1万9600円、奈良は1・4倍の約3万5700円、和歌山は1・9倍の約4万100円に値上がりした。京都府議会事務局は「今回は見直しの議論がなかった。次回どうするかは、検討中だ」としている。
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