中国企業、金1000トンを資金調達手段として利用の可能性=WGC

[シンガポール 15日 ロイター] -金市場に関する調査などを行う業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は15日、資金調達手段として中国企業が保有する金の量が最大1000トンに上る可能性があるとする報告書を公表した。
タイトな与信環境を背景に、中国の金輸入の大部分が消費需要に対応するためではなく、資金調達のために利用されていることが示唆された格好だ。商品を利用した資金調達に対する政府の取り締まりを受けて輸入が影響を受ければ、金価格が下押し圧力に直面する可能性もある。
WGCは、企業投資や投機のために低コストの資金を調達する目的で輸入される金が、信用状(LC)などを通じて利用されていると指摘。「純粋な金融オペレーションのための金利用は、影の銀行(シャドーバンキング)の大幅な伸びの一部を説明する需要の1つだ。2013年末までにこれが累計で1000トンに達した可能性がある」とした。
金1000トンは世界の年間産出量の約3分の1に当たり、現在の価格で約430億ドル相当。
報告書によると、資金調達手段として利用されている金の大半は2011年以降に積み上げられ、借り手は通常、金リスクをヘッジしているという。
WGCは、中国の金需要が25%増え、2017年までに少なくとも1350トンに達するとの見通しを示している。ただ、13年の金輸入が大きく拡大したため、14年の伸びは限定的になる可能性があるとした。
金相場は現在、ウクライナ情勢をめぐる緊張の高まりや、振れやすい株式相場を背景に、年初来の上昇率が10%となっている。

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