三菱マテリアル、「都市鉱山」で欧州に拠点
三菱マテリアルは4日、欧州の金銀スクラップを集める新会社をオランダに設立したと発表した。現地で金や銀が含まれる家電基板などの金銀スクラップの検品やサンプル採取を担い、日本の処理施設に送る。既に米国では集荷体制を整えており、欧州拠点の整備で世界レベルの「都市鉱山」のリサイクル網を構築する。
会社名は「MMメタル・リサイクリング」。三菱マテリアルが90%、阪和興業が10%出資する。2017年春に集荷拠点を稼働させる。総投資額は約40億円。
三菱マテリアルは国内外からスクラップを集め、直島製錬所(香川県直島町)とグループ会社が持つ小名浜製錬所(福島県いわき市)でリサイクル処理している。4月に直島製錬所の設備増強が完了し、処理能力は従来比3割増え、世界最大の年14万トンとなった。
国内外からスクラップを集めているが、現状で3分の1を国内で集め、3分の2を海外から集めている。世界経済の分布から考えれば、仕入れは国内に偏っている。国内ではスクラップの集荷競争が激しく、増強したリサイクル処理施設を安定稼働させるためにも、欧州からの集荷を増やす必要があった。
家電基板などからのリサイクルは従来の鉱石からの生産と比べ、金や銀の含有量を推測しやすい。そのため、収益を見込みやすく、経営の安定につながる面がある。リサイクルによって地金などに再資源化された金や銀は、再び携帯電話や家電の基板などに使われる。
(湯田昌之)