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小さな金ファンド、元トレジャーハンターと提携で破格のリターン実現

  • モントルー天然資源ファンド、過去1年間のリターンはプラス146%
  • ハリス氏のファンド、ニューベリー氏との出会いきっかけに躍進

ケイマン諸島を拠点とする小さな新興企業がリアリティーテレビ番組の元トレジャーハンターを起用したり、逆張り投資をしたりすることで、米ゴールドマン・サックス・グループや米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)などの大企業が運用するファンドを打ち負かしつつある。

  ブルームバーグが集計したデータによれば、モントルー・キャピタル・マネジメントの天然資源ファンドの過去1年間のリターンはプラス146%と、同種の他のファンドの99%を上回っている。この天然資源ファンドの運用資産は3000万ドル(約33億8000万円)。一方、ゴールドマン・サックス・ストラクチャード・インベストメンツ・ファンド(運用資産18億ドル)のリターンは33%、PIMCOの商品ファンドは22%だった。

  モントルーのマネジングパートナー、オリバー・ハリス氏は、金相場が過去数十年で最悪のパフォーマンスを示した後の2014年に金に投資したことや、産金業界のベテランで米リアリティーテレビ番組「ロスト・トレジャー・ハンターズ」に出演していたスティーブン・ニューベリー氏との提携による恩恵を受けていると説明。政治的混乱で資産の逃避先としての需要が増え、金相場は昨年、年間ベースで4年ぶりに上昇した。

How a Tiny Commodities Fund Leaped to the Top of its Class

オリバー・ハリス氏

Source: Montreux

  ハリス氏(35)はロンドンのオフィスから電話インタビューに応じ、「欧州や中国、米国で政治的な逆風が吹く中、金は従来の市場のボラティリティ(変動性)に対する自然なヘッジ手段になるだろう」と述べた。

金の険しい道のり

  自身が設立した新ファンドの投資先資産を探していたハリス氏は、同僚の提案で14年後半にドバイに赴き、ニューベリー氏に会った。ニューベリー氏はタンザニアでの鉱業合弁事業で資金調達を目指していた。この出会いが提携の足掛かりとなり、モントルーの小規模ファンドが2年後、このクラス有数のファンドとなるきっかけとなった。

  金価格が安定し、投資家がリターン獲得に向けこれまで以上に努力する必要がある中、モントルーは大規模で取引高の多い産金会社の株式ではなく、特定の資産に重点を置いて優位に立った。今年は世界的に不透明感が強まり安全資産の需要が拡大していることを踏まえ、過小評価されていると考える産金会社に投資している。

  ハリス氏は「このセクターでは投融資が不足していた。基本的に非常に良い産金プロジェクトが複数あったが、主要投資家には選好されなかった」と指摘する。

  同ファンドは14年10-12月(第4四半期)、市場が好転すれば利益につながるとみて初期投資を実施。ハリス氏によると、15年2月にはギニアにある貴金属精錬会社メタル・コナクリの株式の50%を取得し500万ドルを融資。15年8月には、ニューベリー氏が運営するGRBマイニング(タンザニア)の株式の50%を取得し、900万ドルを融資した。

  「ロスト・トレジャー・ハンターズ」は、12年にインドと東南アジアで撮影を開始。ニューベリー氏は、インドでのダイヤモンド発見を目指すチームの地質学者として人気を博した。鉱山業界で30年のキャリアを積み、オーストラリアやロシア、スウェーデンを訪れたこともある。

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スティーブ・ニューベリー氏

Source: Steve Newbery

  ハリス氏とニューベリー氏が会った際、ニューベリー氏は既にタンザニアで資産を購入する選択肢があった。同氏は15年にプロジェクトの所有権を取得。創業したGRBマイニングの株式をモントルーに売却した。同社は専門的調査に基づいて保有資産の価値が上昇したことで恩恵を受けた。金相場が上昇する中、生産コストを1オンス当たり300ドルから400ドルの水準で維持した。

  「二重の幸運に恵まれた。金の品位に加え量も改善したほか、金相場も大幅に上昇した」とハリスは振り返った。

原題:How a Tiny Gold Fund and TV Treasure Hunter Got 146% Return (1)(抜粋)

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