2013.04.19

金価格急落が意味するもの ~世界的なマネーフローの変化

〔PHOTO〕gettyimages

 4月第2週末から第3週初めにかけて、金価格が急落した。下落幅はドルベースの先物価格で見ると、1オンス=1,560ドル台から1,360ドル代まで約200ドル、率にして約13%下落した。

 金価格急落の直接のきっかけは、米系の金融機関やヘッジファンドなどが先物に大口の売りを出したことと言われている。しかし、それだけで、これほど大幅な下落が起きるものではない。

 むしろ、今回の金価格急落の背景にある、大口需要国である中国やインド経済の低迷、あるいは大規模な投資資金の動き=マネーフローに変化が生じていることを見逃してはならない。

金現物に対する需要の縮小懸念

 2008年夏に1オンス=1,900ドル台を目指して上昇した金価格が、4月12日、突如として大幅に下落し始めた。12日の下落幅は約60ドルで止まったものの、15日は再び大幅に売り込まれた。結局、4月12日、15日の二日間だけで下落幅は200ドルを超えた。

 この下落の背景には、世界有数の金需要国であるインドと中国の景気減速が鮮明化したことがある。特に、15日に発表された中国の今年1-3月期のGDPが事前予想を下回ったことが大きく影響した。

 有力な金の需要国であるインドと中国の景気が低迷すると、金の現物に対する需要が縮小するとの予想が働く。そうした思惑が、金の大口投資家である米系の金融機関などに伝播し、先物市場に売りが殺到したのである。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら
SPONSORED