ガーナの金鉱山で水銀汚染深刻化 日本の技術提供で防止構想

 アフリカのガーナで金鉱山の水銀汚染が深刻化しており、日本のNPO法人や研究者が支援に向けて動き出した。有害な水銀を使わずに金を製錬できる日本独自の技術を提供し、汚染や健康被害を防ぐ構想だ。水俣条約の発効で水銀対策の重要性が再認識される中で、早期の実現を目指している。

 金はガーナの主要な輸出品で、国内に多くの鉱山がある。NPO法人「日本とガーナ架け橋の会」の丹沢徳昭事務局長とアジマン・スイアウ東京農工大准教授によると、小規模な鉱山では安価な水銀を使った金の製錬が手作業で行われている。

 採取した金鉱石を水銀に溶かした後、加熱により水銀を気化させて金を抽出する危険な作業で、中国人が実質的に経営する違法な小規模鉱山で野放しになっているという。

 東京農工大の渡辺泉教授(環境毒性学)らがガーナ南西部の小規模鉱山で土壌を調査したところ、通常と比べ数倍から数十倍の高い水銀濃度を検出。周辺では原因不明の重い皮膚病が増えており、関連が疑われている。

 鉱山で働くのは貧困層の若者が多く、水銀の毒性を知らずに作業をしているという。渡辺教授は「野菜や川魚の水銀も高濃度で、このままだと深刻な健康被害の恐れがある」と警鐘を鳴らす。

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