プラチナ急騰、4年3カ月ぶり高値
主産地で供給減観測
プラチナ(白金)の国際価格が急騰し、約4年3カ月ぶり高値を付けた。主産地の南アフリカで鉱山大手の工場の稼働が停止し、供給が減るとの警戒感が高まった。将来需要が増えるとの期待や金などに比べた割安感も加わり、上場投資信託(ETF)などを通じて投資マネーが流入した。
国際指標となるニューヨーク先物は日本時間4日の時間外取引で一時1トロイオンス1050ドル台に上昇。近年の上限だった1000ドルの心理的な節目を突破し、2016年9月以来の高値となった。
上昇のきっかけは供給減観測の台頭だ。白金鉱山最大手のアングロ・アメリカン・プラチナが11月、工場の漏水トラブルで年内の稼働を停止すると発表。需給の引き締まり観測が投資家の買いにつながった。
白金ETFの残高は増加傾向だ。金融情報会社リフィニティブによると、世界の白金ETFが裏付け資産として持つ現物の残高は約80トンと3月末以来の高水準となった。
将来の需要増への期待も投資マネーをひき付ける要因だ。住友商事の永尾英二郎コモディティビジネス部長は「環境政策を重視するバイデン氏の米大統領選勝利以降、燃料電池車(FCV)などに使う白金に思惑買いが入っている」と話す。
金やパラジウムなど他の貴金属と比べた割安感も買いの一因とみられる。一般的に白金は同じ貴金属の価格動向に連動しやすい。だが独フォルクスワーゲンのディーゼル車の不正問題が発覚した15年以降、白金は金を下回り、金との価格差が今夏以降1トロイオンスあたり1000ドル超と過去最大に広がっていた。足元の上昇で価格差は800ドル前後まで縮小した。
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