N子さん(73)は独身の次女K子さん(43)と東京都内の住宅地で暮らしている。夫は8年前に亡くなり、長男と長女はそれぞれ独立し、家庭を持っている。
老朽化した家は建て替えへ
今の家は40年以上前、夫の両親が建てたものだ。夫の一家はかつてJR山手線の駅近くの商業地に住んでいたが、開発が進んで騒がしくなったため、家を取り壊してそこに賃貸ビルを建て、落ち着いた住宅地に移った。両親はその後間もなく亡くなり、財産はすべて夫が相続した。
この家には、夫の両親とN子さん夫婦、さらに3人の子の7人でにぎやかに過ごしてきた思い出が詰まっている。だが、築40年以上ともなると、あちこち老朽化が目立ち、さらに2人で生活するには広すぎて不便だと感じるようになっていた。
しばらく前にN子さんが庭で転んで手首を骨折したことが決め手になった。やはり段差のないバリアフリーが必要だ。そう痛感したN子さんは家の建て替えを決めた。
倉庫の隅に段ボール箱
準備のため、N子さんは、家の中や裏庭にある倉庫の整理に取り掛かった。捨てるものと残すものと仕分けしていくが、昔の思い出の品々や家族の写真などが次々に出てきて、なかなかはかどらない。
そうこうするうちに、倉庫の隅にあった古びた段ボール箱に気付いた。どかそうとしても、重くて動かない。何が入っているのかと開けてみると、和紙の下に黒ずんだものがあった。なんと約40キロの金塊だった。
N子さんは困った…
この記事は有料記事です。
残り886文字(全文1495文字)
投稿にはログインが必要です。
注目コンテンツ