金(ゴールド)と人類の関係。金は人類を魅了し続けてきた

 金(ゴールド)は、いつの時代も、さまざまな意味で、人類に影響を及ぼしてきました。ピラミッドや古墳などの大昔の有力者の墓からは、金(ゴールド)を用いた宝飾品が見つかっています。

 墓に魅惑の輝きを放つ宝飾品が収められていることは、埋葬された人が生前、大きな権力を有していたことを示しています。死後の世界でも、権力を振るえるよう、墓に宝飾品が収められた、との説もあります。金(ゴールド)が権力の象徴である例です。

 以下のグラフは、有史以来、これまでに人類が生産した金(ゴールド)が、どの分野に使われているのかを示しています。統計では「地上在庫」とされています。

図:これまで人類が生産した金(ゴールド)の使い道

出所:Gold Hubのデータをもとに筆者作成

 金(ゴールド)の宝飾品は、権力の誇示だけでなく、保有者の気分を高揚させたり、安堵(あんど)させたりする効果があります。長い歴史の中で、人類はこうした効果を求めて、採掘した金(ゴールド)の半分弱を宝飾品にしました。

 宝飾品に次いで割合が大きいのが、投資用です。内訳は、20%が地金(じがね)やバー、2%が金(ゴールド)を株式のように機動的に売買できるように作られた金融商品ETF(上場投資信託)の裏付けです。ETFが売れれば売れた分だけ、指定された金融機関に金(ゴールド)が積み上がる仕組みです。

 次は公的機関の保有です。割合は17%です。ここで言う公的機関とは、各国にある銀行の銀行と呼ばれる「中央銀行」と「IMF(国際通貨基金)」です。後述する「金市場の自由化」後も、米国をはじめとした主要国の中央銀行は、金(ゴールド)の保有を維持しています。

 また、近年は、何かあった時への備えとして積み上げている外貨準備として、金(ゴールド)の保有量を増やす国(中央銀行)が増えています。

 その他加工用などは15%です。伸ばしやすい(加工しやすい)、電気を通しやすい、さびない、などは、金(ゴールド 元素記号Au)の物質としての特徴です。こうした特徴が買われ、金は電子製品に幅広く用いられています。

 電子製品が広く用いられている国や地域を「都市鉱山」と呼ぶことがあります。また、工業的な用途に加え、金は生物の体と親和性が比較的高いとされ、入れ歯などの歯科用の金属としても用いられています。