「風評被害」に耐えたプラチナ

 今回から3回にわたり、来年の相場見通しを書きます。1回目の今回は「プラチナ」です。

 プラチナ相場は、2015年9月に発覚した、ドイツ自動車大手「フォルクスワーゲン」のスキャンダルを機に、プラチナの主用途である自動車排ガス浄化装置向け需要が減退するとの思惑が支配的になり、数年間にわたり、低迷を余儀なくされました。

 同需要の減少が、需給統計で示されていないにもかかわらず、です。あるアナリストは、このような、統計無視・思惑主導の価格推移を、「風評被害」と言いました。同感です。「風評」で下落したプラチナ相場に、同情を禁じ得ません。

 フォルクスワーゲン・スキャンダル発覚→プラチナ需要減→価格下落、という流れが分かりやすかったことが、プラチナ相場を長期低迷に追いやったわけです。「複雑なことは誤り」「わかりやすいことが良い」という社会の風潮も、下押し圧力となったと考えられます。

 こうした値動きを経ても、ぐっと歯を食いしばって底堅く推移し、価格反発の予兆が見え始めたプラチナ相場は、2022年、どのように推移するのでしょうか。

図:プラチナと金の価格推移(年間平均) 単位:ドル/トロイオンス

出所:ブルームバーグより筆者作成