豊島逸夫の手帖

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NY連銀金庫の金6千トン、NHK番組のテーマに

2022年5月2日

土曜日午後7時半からのNHK番組と言えば、通常は「ブラタモリ」だが、4月30日は特別番組で「内村光良のエンタメ系教育番組」が放映された。そこで世界三大貯蔵庫として、ノルウェーの穀物種子貯蔵庫とアメリカの動物遺伝子を保存する冷凍動物園、そして大量の金を貯蔵するNY連銀金庫が紹介された。

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NY連銀のパートは筆者もお手伝いしたのだが、さすがにゴールデンタイムの番組なのでかなり反響があった。多くの時間を割いてNHKスタッフに金のレクチャーをしたので時間がかかった。ブレトンウッズ体制とかを「ブラタモリ」の時間枠で視聴者に分かりやすく説明するのは至難の技。

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例えば以下のナレーションを作成するだけでもかなり大変な作業になるのだ。
ひとつ目はアメリカ「ニューヨーク連邦準備銀行」。ドルの発券を行う国の銀行である。
この地下に大量の"金"が貯蔵されている。世界の中央銀行が保有する金のおよそ5分の1。
総量6200トン。その殆どはアメリカの物ではない。世界の国々から預かっている。
きっかけは第二次世界大戦。ヨーロッパが戦場となった。

その結果アメリカの経済力が世界において台頭。
1944年にイギリスのポンドに代わり、アメリカのドルを基軸通貨とすることが決定。国と国の経済取引にドルを用いることになった。
B国がA国からドルで金を買う。金はB国へ。
C国がB国からドルで金を買う。金はC国へ。売買の度、金を輸送するのは相当な手間である。
そこでNY連銀に各国が金を預け、その中で取引をするようにした。金は動かないが持ち主は変わっていく。
富の象徴、金。その輝きは永遠に続くのだろうか。」

通常テレビで金が話題になると言えば、史上最高値更新などのマーケット関連が殆どだ。金を茶化すようなメディアの取り扱いも少なくないが今回はまともに紹介された。ただその歴史的背景などになるとあの時間帯の一般視聴者に説明するには時間的にも限界がある。まぁこのような番組がキッカケになって他の番組でも話題になれば、金についての理解も広まることが期待される。

なお、筆者は日経CNBCの現地ロケでNY連銀に行ったことがある。NY連銀金庫は一般にも公開されている。

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それからロシアの金本位制移行の話題もあるが、これは様々な報道が交錯しているので次回に。

そして連休中の5月3、4日には今年の最大級イベント、5月FOMCがある。

2022年