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ロシア産金の輸入禁止、中国・インド・中東が抜け穴か

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先進7カ国(G7)が経済制裁としてロシア産金禁輸を発動する成り行きだが、その実効性には疑問符がつく。金消費大国1位の中国と2位のインドが親ロシア国という需要構図になっているからだ。

ロシアの年間金生産量は330トン。対して中国とインドの2カ国の年間国内需要は2021年には1755トンに達した。年間世界金生産量の49%をこの2カ国が買い受けたのだ。中国は世界最大の金生産国(332トン)なのだが、国内需要を満たすためには不足分を輸入に依存せねばならない。現状では、中国もインドも主としてロンドン金市場、一部はチューリヒ金市場から輸入している。その一部をロシアからの輸入に切り替えることは十分に可能である。

さらに、ロシア中央銀行は2298トンの金塊を外貨準備として保有する。この公的金準備のかなりの部分はロシア産とみられる。

ロシアには旧ソ連崩壊時、大量の公的金準備を欧米市場で売却して外貨を調達した歴史がある。それゆえ、原油高で国庫が潤沢になるや、次の有事に備え、粛々と公的金購入を続けてきたのだ。ところが、今回の経済制裁がロシア中央銀行にまで及び、2298トンの金売却の道が塞がれてしまった。公的金準備は「宝の持ち腐れ」になった。これはプーチン大統領にとっても想定外の事であったとみられる。

そこで、ここでも中国がその一部を買い受ける可能性が浮上している。中国は民間だけでなく中国人民銀行も外貨準備として無国籍通貨の金保有を増やしてきた。ロシアからの直接金購入の対価は人民元で支払われるかもしれない。国際決済通貨としての人民元の通貨圏を拡大することは、中国の通貨戦略でもある。その過程では、米ドル一極通貨覇権に中国・ロシア共同作戦で対抗する思惑も透ける。ロシア中央銀行は人民元保有を17%に増やし、中ロ共同作戦をアピールしている。

そしてインドだが、親ロ国とはいえ米国との関係にも配慮する立場にある。あからさまにロシア産金を大量輸入することは控えるのではないか。ただし、武器をロシアから輸入してきた経緯もあり、ウクライナ情勢次第では限定的ながらロシア産金を買い受ける可能性があろう。

さらに中東も文化的に金選好度が高く、政治的思惑も絡みロシア産金を輸入する事例が生じても不思議はない。対イラン経済制裁の事例では、金塊がドバイ経由でイランに流入して、制裁の抜け穴となった。

なお、金地金は精製業者(リファイナリー)で溶解されれば生産国の国籍は消える。そこでスイス国内などの金リファイナリーは既にロシア産金の取り扱いを停止する旨、連名で発表している。それでも、5月のスイス通関統計にはロシアからの輸入として3.1トンが明示されている。2月までの12カ月も平均2トン輸入の数字が出ており、「姿みせぬ買い手」として業界内では話題となっている。

筆者はスイス銀行チューリヒの貴金属トレーダーとして、まさにロシア産金・パラジウムの売買の最前線にいた。深夜のチューリヒのバーでロシア人業者とウオッカを飲みつつ交渉することが、いまだに続いていると聞き及び、ロシアとスイスの断ち切れぬギルド的関係を改めて痛感しているところだ。一般論だが、欧州ど真ん中に位置する小国スイスは永世中立国の冠の下で、生きる知恵として建前と本音を使い分ける国なのだ。

豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
・業務窓口はitsuotoshima@nifty.com
  • 出版 : 日経BP
  • 価格 : 1,045円(税込み)

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