ゴールドコラム & 特集

2016年以来の急激な価格の下落で金投資が急増

•   7月に米国建て金価格は5年以上ぶりの急激な下落を見せる
•   金投資は2020年夏以来の急増となる
•   ブリオンボールトの顧客の保有量が新記録を更新

2022年8 月2 日ロンドン – 金価格が過去5年半で最も速いペースで急落したことにより、先月個人投資家の金需要が急増したことが、貴金属現物のオンライン市場を提供する世界でも有数のブリオンボールトの最新データで明らかとなった。

ドル建て月間平均金価格は、6月に比べ5.3%下回るトロイオンスあたり1736ドルとなり、2016年12月以来最も速いペースで急落し、16年間で最も低い月間平均価格となっていた。

先月の価格の急落により、ブリオンボールトでは今年3月以降で最も多くの顧客が金地金を購入し、前月比27.9%増となっていた。それに対し、金地金を売却した顧客は10.3%減少し、12月以降で最も少なくなっていた。

その結果、貴金属現物に対する個人投資家のセンチメントを示す金投資家インデックスは、56.8となり、昨年6月以来の高い数値となっていた。



金投資家インデックスは、その月に金を売却した顧客数と購入した顧客数が一致した場合に50.0となるように設定されている。2020年3月の新型コロナウィルス感染症が世界的に流行した際には、65.9という10年ぶりの高値を記録していた。

この7月の前月比2.3ポイント増は、2020年8月以来の指数の月間上げ幅となった。

また、顧客の売却量を差し引いた重量ベースの金需要も7月の価格下落を受けて急増し、ブリオンボールトで2021年6月以来の最大増加量である0.2トンに達していた。

これにより、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの中で顧客が選択した保管場所で安全に保険がかけられた上で貯蔵されている金地金の総量は、47.7トンを超え、27億ドル(3610億円)相当と記録を更新していた。

ブリオンボールトのリサーチディレクターであるエイドリアン・アッシュは、このデータについて、次のようにコメントしている。

「新規顧客数は夏という季節柄からも強いものは見られていないが、既に貴金属を購入している既存の顧客は、金価格の急落を購入機会と見て保有量を増やしている。

この夏の個人投資家による金投資の急増は、機関投資家とは対照的だ。投機筋はコメックス先物やオプションで弱気ポジションを積み上げ、中央銀行が40年ぶりの高さのインフレに対応するために、政策金利を引き上げざるをえないことで価格がさらに下落すると予想し、金のETF保有量を減らし続けている。

しかし、利上げがもたらしたのは、現段階では景気後退の可能性を高めることだけだった。経済の見通しの悪さは、投資家が金地金を購入する理由の一つであり、株式、債券、不動産などを含むポートフォリオをより幅広く分散させる必要性も高まっている中で、2022年に弊社顧客の中では金地金投資を行う動機の第一位は高インフレが大きくリードしている。」

ブリオンボールトの顧客へ行ったアンケート*によると、貴金属を所有する動機として、高インフレが依然として最も多く選ばれており(39.2%)、次いでポートフォリオの分散(33.9%)、経済見通しの悪さ(15.3%)と続いている。

アンケートの回答者は平均して、金価格が大晦日までに現在の水準から10.6%上昇し1961ドルになると予想している。これは、金が年末の最高値を過去3年間で2度更新することを意味する。

7月の金価格の下落幅は、米ドル建てよりもユーロ建てと英国ポンド建てではより小さく、貴金属の月間平均価格はそれぞれ1.8%と2.8%安で、トロイオンスあたり1706ユーロと1449ポンドと5ヶ月ぶりの安値となっていた。

一方、貴金属に対する新たな関心は世界的に低く、ブリオンボールトの月間の新規顧客数は、11ヶ月ぶりの低水準となった6月からわずか2.4%増と、典型的な夏枯れ市場が続いている。



7月の銀価格は、金価格のほぼ2倍の幅で下落し、ドル建てで月間平均11.2%安と、2020年3月のコモディティー価格の暴落以来の急落となっていた。

そのため、金と同様に個人投資家の取引が急増し、銀の購入者数は45.9%増と、6月の急落分を取り戻していた。一方、銀の売却者数は前月比9.0%減と、2019年12月以来の低い水準へ急落していた。

このために、銀投資家インデックスは5月の56.0まで回復し、昨年6月以来の高水準となっていた。

銀の需要は重量においても強く、顧客の売却分を差し引いても12.0トン増となり、現在ブリオンボールトの顧客が保有している銀の総量は、7月末に過去2番目に高い1,250トンで、評価額は8億600万ドル(1080億円)相当となっている。

以上

連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子 
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804  
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com

追加情報
* BullionVaultは、2014年12月から半年ごとに弊社が発信しているウィークリーレポートの購読者にアンケートを行い、ポートフォリオに貴金属を保有することを選択している投資家の意見をまとめている。
2022年半ばの調査は7月4日から18日まで実施され、778件の回答を得た。すべての回答は匿名かつ自由に提供されている。結果は要望に応じてエクセルで提供が可能。
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で10万人を超える個人投資家が35億ドル(4790億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。

•オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。

ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp

ブリオンボールト

プロフィール

ブリオンボールト

BullionVault

英国最大手のオンライン金地金取引サービス提供。英国女王賞を2009年に革新部門、2013年に国際取引部門で受賞。7万人を超える顧客の約38.7トンの金地金を保管。 ロンドン貴金属市場協会の正会員。ワールド ゴールド カウンシルの関連会社とロスチャイルドファンドが資本参加。

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