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生活費高騰による可処分所得減少で 新規顧客数が一年ぶりの低さへ下げる

2022年9月6日ロンドン – 生活費高騰によって可処分所得が減少したことが、本来インフレヘッジとしての現物地金の魅力が高まるべき環境下で、金とその他の貴金属投資を行う新規顧客数が先月に1年以上ぶりの低水準に下げていたことが明らかとなった。

これは、世界でも有数の地金現物のオンライン市場を提供するブリオンボールトの最新のデータと分析によるもので、貴金属投資を行う新規顧客数は、先月7月の数値から9.8%減少し、過去12ヶ月間の平均から21.6%減少し、2021年7月以来最も少なくなっていた。

ブリオンボールトのリサーチディレクターのエイドリアン・アッシュは今状況を次のように解説している。

「金投資は通常、夏の間は減少する傾向があるが、2022年も例外ではなかった。しかし、生活費の高騰は、個人投資家や貯蓄者が将来のために蓄えておく可処分所得の減少を意味することでもある。

歴史的にも究極のインフレヘッジとして見られている金の魅力にもかかわらず、ブリオンボールトの主要市場である西ヨーロッパと北アメリカでは、貴金属への新たな関心が1年以上を超えて最も低いものとなっていた。これは、既存の地金所有者の3人に1人は、新規投資を減らすか止める、あるいは、生活費のために資産や貯蓄を取り崩さなければならない状況にあるからだ。」

ブリオンボールトの2022年の中間調査*によると、アンケート回答者の15.0%が通常の投資額を減らし、6.4%が資金の積み立てを止め、更に12.6%が資産の売却や現金貯蓄に頼らざるを得ない状況であることが分かっている。

米国とドイツの新規顧客数の低迷は、ブリオンボールトの8月の全体の新規顧客数の減少を促し、米国の新規顧客数は過去12ヶ月の平均から46.5%減で2022年1月以来の低い水準で、ドイツは38.5%減で2019年2月以来の低水準となっていた。

そして、英国の新規顧客数は過去12ヶ月の平均から15.5%減少したのに対し、フランスでは13.3%増、イタリアでは20.4%増加していた。



ブリオンボールト全体では、8月に金地金の保有を開始もしくは追加した顧客数は、前月比27.8%減である中で、売却者数は9.4%増となっていた。

その結果、金投資家インデックスは、13ヶ月ぶりの高水準となった7月から2.8ポイント下げ、54.0と、3月以来の低い数値となっていた。

金投資家インデックスは、月間で金を売却量以上購入したネット購入者数と、購入量を上回る売却をしたネット売却者数が完璧に一致した場合に50.0となるように設定されており、2020年3月の新型コロナウィルス感染の広がりによるロックダウンが世界各地で行われていたコロナ危機初頭時には65.9という10年ぶりの高値を記録していた。

そして、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの保管場所で安全に保険がかけられて保管されているブリオンボールトの顧客が保有する金地金の量は、5ヶ月連続の増加を8月に止めて、7月に記録した47.7トンから変化なく、26億ドル(3650億円)相当となっていた。

エィドリアンは、「この夏、金利の大幅上昇の観測が広がる中で株式や債券の価格が下落した一方で、金が比較的強いパフォーマンスを見せているのは、この大幅な金利上昇が行われるというコンセンサスに疑問符をつけているとも言える。」と述べている。

今年に入って取引可能な資産クラスの中で、金は米国ドルベースで最も損失が小さく、ドル建て以外においては、インフレ考慮後でも堅調に推移している。

ドル建て金価格は、年初から6%下落しているが、ユーロ建てでは7%、英ポンド建てでは10%、日本円建てにおいては14%の上昇を記録している。

これとは対照的に、世界の株式市場はドル建てで20%下落し、債券価格の指数は15%下落している。

ドル建て金価格は終値ベースでは8月に2.1%下落し、5ヶ月連続の下落となった。しかし、月平均では7月から1.7%上昇し、3月以来の上昇となっていた。

ユーロ建て金価格は終値ベースで0.6%下落し、6ヶ月ぶりの安値のトロイオンスあたり1715ユーロで終えていたものの、月間平均価格は前月比2%高で、英国ポンド建て金価格は7月の半年間の安値から1.8%上昇して1478ポンドで8月を終え、月間平均価格でも1.5%高となっていた。



金と同様に、ドル建ての銀価格も8月末に下落し、2020年9月以来の終値ベースで月間に10.6%減という急落を記録していた。

しかし、8月の銀の月間平均価格は上昇し、7月の25ヶ月ぶりの安値から3.5%上昇していた。

そのため、ブリオンボールトの銀の月間のネット購入者数は24.3%減少し、ネット売却者数は前月から1.9%減少したのみとなっていた。

その結果、銀投資家インデックスは53.9となり、7月の13ヶ月ぶりの高水準から2.1ポイント減少していた。

重量ベースの銀の需要は、5ヶ月連続でプラスとなり、ブリオンボールトの顧客による売却を差し引いたネット需要量は3トン以上となり、顧客の総保有量は1253トンと7億3200万ドル(100億円)相当と記録を更新していた。

以上

連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子 
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804  
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com

ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で10万人を超える個人投資家が34億ドル(4750億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。

•    オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•    米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•    地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•    日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。

ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp

ブリオンボールト

プロフィール

ブリオンボールト

BullionVault

英国最大手のオンライン金地金取引サービス提供。英国女王賞を2009年に革新部門、2013年に国際取引部門で受賞。7万人を超える顧客の約38.7トンの金地金を保管。 ロンドン貴金属市場協会の正会員。ワールド ゴールド カウンシルの関連会社とロスチャイルドファンドが資本参加。

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