野生生物写真コンテストの入賞作品を紹介しよう...2023年の大賞は「黄金のカブトガニ」

泥の上をゆっくりと進むカブトガニ。金色に輝く甲羅の下には12本の付属肢が隠れている。すぐそばには、カブトガニの通過によって掘り起こされた食用になりそうなものに飛びかかろうと、3匹のコガネシマアジが待ち構えている。

泥の上をゆっくりと進むカブトガニ。金色に輝く甲羅の下には12本の付属肢が隠れている。すぐそばには、カブトガニの通過によって掘り起こされた食用になりそうなものに飛びかかろうと、3匹のコガネシマアジが待ち構えている。

Laurent Ballesta / Wildlife Photographer of the Year

  • 2023年の「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の大賞は、奇妙な姿をしたカブトガニの写真に贈られた。
  • 撮影したローラン・バレスタは、このコンテストで大賞を2回獲得した2人目の写真家となった。
  • 他にも、狩りをするシャチ、スズメのヒナを食べるオタマジャクシ、ボブキャットの狩猟コンテストの様子などを捉えた写真が入賞した。

ローラン・バレスタ(Laurent Ballesta)は、海底を滑るように泳ぐ珍しい金色のカブトガニを撮影し、「ワイルドライフ・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の大賞を受賞した。

この写真コンテストは、ロンドン自然史博物館が1965年に第1回を開催して以来、発展を続けてきた。2023年は約5万点の応募の中から受賞作が選ばれた。

海洋生物学者であるバレスタは、同コンテストの59年の歴史の中で、大賞を2回獲得した2人目の写真家となった。

この写真は、フィリピンのパンガタラン島近海の保護海域で、利用価値の高い青い血を持つカブトガニが泥の中を突き進む様子を捉えている。この恐ろしげな生き物の食事からおこぼれにあずかろうとする3匹の小魚も一緒に写っている。

カブトガニは、少なくとも1億年もの間、基本的に変化することなく海をさまよってきた。そのため「生きた化石」とも呼ばれる。

カブトガニには特有の青い血液が流れているが、それが今や彼らにとって呪いとなっている。この貴重な液体がワクチンの汚染検査に使われることから、カブトガニは乱獲され、生息地の破壊にも直面し、種の存続が脅かされている。

審査委員長を務める編集者のキャシー・モラン(Kathy Moran)は、この写真についてプレスリリースにこう記している。

「カブトガニが天然の生息地で、これほどまでに生き生きと、心を奪われるほど美しく生きている姿を目の当たりにして、本当に驚いた。我々が見ているのは絶滅の危機に瀕している古代種で、人間の健康にとっても重要な種だ。この写真は輝いている」

2023年のコンテストでは19作品が入賞した。そこから5作品を紹介する。

ブラジルの熱帯雨林で、アメリカバクが湿地帯から慎重に一歩を踏み出した瞬間。

ブラジルの熱帯雨林で、アメリカバクが湿地帯から慎重に一歩を踏み出した瞬間。

VISHNU GOPAL / Wildlife Photographer of the Year

写真家ヴィシュヌ・ゴパール(Vishnu Gopal)は、ブラジルの熱帯雨林のキャンプ場にいる時に聞こえてきた特徴的な足音をたどって、茂みに入っていった。待つこと1時間、茂みの間からバクが姿を現した。

この写真はアニマル・ポートレート部門の受賞作品となった。

カバの親子。

カバの親子。

Mike Korostelev / Wildlife Photographer of the Year

マイク・コロステレフ(Mike Korostelev)は南アフリカのコシ湾に2年間滞在し、現地のカバと親交を深めていった。彼はカバが子育てをする住みかに入り込み、わずか20秒でこの写真を撮影した。

これは、水面下環境部門の受賞作品となった。

溺れたスズメのヒナに群がるオタマジャクシ。

溺れたスズメのヒナに群がるオタマジャクシ。

Juan Jésus Gonzales Ahurrada/ Wildlife Photographer of the Year

フアン・ヘスス・ゴンザレス・アフラダ(Juan Jésus Gonzales Ahurrada)は、自宅近くでこの静かな悲劇を捉えた。スズメのヒナが初めての冒険に出かけようとしたが、まだあまりに幼過ぎて近くの池に落ちて溺れてしまった。しかし、このヒナの死は無駄にはならなかった。すぐにオタマジャクシがその体を食べに群がってきた。

この写真は行動部門(両生類と爬虫類)の受賞作品となった。

流氷の上のアザラシを狙うシャチの群れ。

流氷の上のアザラシを狙うシャチの群れ。

Bertie Gregory / Wildlife Photographer of the Year

バーティ・グレゴリー(Bertie Gregory)は、南極半島近くの凍てつく風の中、2カ月にわたってボートの屋根からシャチを狙っていた。そして、ウェッデルアザラシが避難していた小さな流氷をひっくり返すために「ウェーブウォッシュ」という攻撃を仕掛けようとするシャチの群れをドローンで撮影した。

この写真は行動部門(哺乳類)の受賞作品となった。

2022年3月に開催された「ウェスト・テキサス・ビッグ・ボブキャット・コンテスト」の様子。

2022年3月に開催された「ウェスト・テキサス・ビッグ・ボブキャット・コンテスト」の様子。

Karine Aigner / Wildlife Photographer of the Year

カリーヌ・アイグナー(Karine Aigner)は、アメリカで最も賞金の高い捕食動物狩猟コンテストである「ウェスト・テキサス・ビッグ・ボブキャット・コンテスト」の様子を撮影した。2022年の「最も重いボブキャット」部門の優勝者は、3万5000ドル(約520万円)もの賞金を獲得したという。

この写真はフォトジャーナリスト・ストーリー賞を受賞した。

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