ビットコインと金の最高値更新、相反するシグナルに市場は困惑
Richard Henderson-
ビットコインは今年50%近く上昇、現物ETF導入が寄与
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金の値上がり、地政学的リスクなどに対するディフェンシブ姿勢示す
暗号資産(仮想通貨)ビットコインと金相場が過去最高値を更新したが、これはグローバル市場でのリスクテークを巡り発信された複雑なメッセージかもしれない。
ビットコインが金と同時に最高値を更新したのは10年余り前の登場後初めてだが、この両資産の原動力は著しく異なると通常は考えられている。
金は長年にわたり資産の安全な逃避先として機能。一方、純粋な投機を超えたビットコインの役割については議論が続いている。ビットコインは今年50%近く上昇。米国で最近許可されたビットコイン現物投資型上場投資信託(ETF)への資金流入が寄与した。
金の値上がりが示すのは、地政学的リスクに対する懸念や世界の株式相場が記録的な上昇から反落する恐れに対するディフェンシブなポジショニングと受け取れる。
ペッパーストーン・グループの調査責任者クリス・ウェストン氏によれば、こうした不可解な状況を理解する一つの方法は、全資産クラスにわたり短期的なモメンタムを追い求めるトレーダーの行動を考えることだという。
同氏は金相場について、「短期筋の投資家がモメンタム買いを入れており、それはビットコインにも見られる」と語った。
ビットコインも金も金融緩和期待の恩恵をあずかっていると思われる。スワップ市場が織り込む6月の米利下げの確率は62%と、2月末時点の58%から上昇している。
ビットコインは米国時間5日の取引で6万9191.95ドルまで上昇し、2021年11月に付けた最高値を更新。その後、やや上げを縮小し、シンガポール時間6日正午(日本時間同日午後1時)現在は6万3300ドル前後で推移している。
金スポット価格は5日、1オンス=2141.79ドルを付け、昨年12月上旬に記録した従来の最高値を突破。金は過去5営業日で5%近く値上がりしている。
キャピタル・ドットコムのシニアマーケットアナリスト、カイル・ロッダ氏は「仮想通貨の状況は、株式市場やより広範なリスクテークに起きていることと結び付けられる。仮想通貨市場ではミームコインが勢いを取り戻しつつあり、合理的でないリスクテークの動きが示唆されているようだが、これは株式市場の一部で起きていることと一致する」と指摘した。
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原題:Bitcoin and Gold All-Time Highs Are Jarring Contrast for Markets(抜粋)