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[番外編]鉱山をゆく―国内最大のセリサイト埋蔵をほこる土橋鉱山(前編)

写真で巡る世界のゴールド、第2回にして既に番外編となりますが(金ではないため)、今回は「鉱山をゆく」として岡山・備前市にある土橋鉱山探訪記をお届けします。現在も操業している貴重な現役鉱山の採掘現場の風景をこちらでお届けします。

今回見学させて頂いた土橋鉱山は、岡山市から車で一時間ほど、兵庫県にほど近い備前市三石にあります。備前市三石地区は、日本最大のろう石鉱床であり、こちらの鉱山では日本国内では数少ない良質のセリサイト(絹雲母)を産出しており、その予想埋蔵量も200万トン以上で国内最大となっています。また、ろう石(パイロフェライト系)や硅石なども採掘しています。

そして2010年3月現在、全国での非金属鉱山労働者1,562名、坑内作業員はわずか34名、そのうち8名がこの土橋鉱山に所属しており、貴重な坑内採掘の技術を継承しています。


■地下156メートル、総延長9,000メートルの大坑道入口


早速鉱山内部へ。こちらが斜坑口となり、ここから車に乗って入坑していきます。まずは地下100メートル位まで下って行き(Level3)、現在は使用されていない軌道の残った坑道へ。



地下115メートルまでは立坑があり、以前は、人も鉱石も資材もこれで運搬していました。現在は、地下156メートルまで斜坑道が出来ているため、この立坑は主に通気、排水、電気系統用として使われています(また運搬用のエレベータを動かす機械は後ほど)。


こちらが昔使われていたトロッコなどの運搬具。レールを使い、立坑エレベータに載せて地上まで鉱石を運んでいました。


地中深く掘り進めていくと酸性度の高い水が沢山出てきます。この坑内から出てくる水を、地上まで引き上げ、坑水処理場にて消石灰等で調整し、凝集剤・プレス等を通し、基準値内に納めた上澄水を基準値内に調整処理し公共河川へと流したり、坑内での削岩機水としても使用しています。



■いよいよ地下130メートルの採掘現場へ


先に進みます。Level3から更に20メートルほど斜坑道を下り、地下133メートルのLevel4へ。坑内通路は広々とこの様な感じです。坑内温度は一年を通し約17度、カラッとしていてとても快適です。


こちらは坑内に設置された火薬庫。坑外に設置された火薬庫から1日分を取り分け、坑内の火薬類取扱所に一時保管します。




そして実際の採掘現場へ。


こちらはクローラードリル。岩盤に対し爆薬を装填する孔を穿孔する重機で、坑道の大きさや岩質に応じて、方向・長さ・間隔を考慮しながら20-50程度穿孔していきます。


こちらが実際の切羽の前。幾つも穴が空いているかと思いますが、こちらが先のクローラードリルで穿孔した爆薬充填用の孔となります。この孔に電気雷管と爆薬を装填します。1回の発破で約25キロの爆薬を使用します。


後編では実際の採掘の流れから、重機、坑外風景、そしてこの鉱山で採れる鉱石などについてご案内します。

>>[番外編]鉱山をゆく?国内最大のセリサイト埋蔵をほこる土橋鉱山(後編)はこちら

土橋鉱山株式会社
〒705-0132 岡山県備前市三石2602番地。
現在、日本国内では数少ない良質のセリサイト(絹雲母)産出鉱山であり、セリサイト(絹雲母)の予想埋蔵量も200万トン以上で国内最大です。また、ろう石(パイロフェライト系)、硅石なども採掘しています。
【沿革】
昭和25年(1950年)
 岡山市西市中山下46番地に「幸陽通商株式会社」(当社の前身)の社名をもって設立。
昭和27年(1952年)
 商号を「川炉商事株式会社」と変更し、耐火煉瓦の販売代理店となる。
昭和32年(1957年)
 備前市三石、兄坂鉱山を買収。
昭和39年(1964年)
 備前市三石・土橋鉱山を買収。兄坂鉱山と鉱区合併を行い、土橋鉱山と称する。これより本格的な開発に着手する。
昭和62年(1987年)
 トラックレスマイニングの重機用斜坑道が完成。
平成6年(1994年)
 本社所在地を岡山県備前市三石2602番地に移転。
 商号を「土橋鉱山株式会社」に変更する。
平成20年(2008)
 L4レベル(-133m)からL5(-156m)へ掘進開始。


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