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金価格が新高値を更新する中で、金投資センチメントは高まる

2025年6月3日・ロンドン -「安全資産」と知られる金(ゴールド)が史上最高価格を更新する中、金への投資意欲が高まっていることが、世界有数のオンライン貴金属投資サービスを提供するブリオンボールトの最新データで明らかとなった。

5月の金価格は、4月の過去最高値(トロイオンスあたり3500ドル)を10.8%下回ったものの、月間平均価格は5ヶ月連続で上昇。これまでの「ピーク到達後に下落する」という過去のパターンを覆し、2.2%上昇し、トロイオンスあたり3278ドルと月間平均の過去最高を更新した。

また、欧米の金投資家のセンチメントも上昇し、金投資家インデックスは前月比0.7ポイント高の55.5となり、ブリオンボールトの独自指標である購入者と売却者の比率では、2月の28ヶ月ぶりの高値であった56.3以来の高い水準となっていた。

この結果、金投資家インデックスの12ヶ月平均は54.0となり、2023年8月以来の高水準に。なお当時の金価格はトロイオンスあたり1920ドルで、先月の平均価格を41.4%下回っていた。

「中央銀行や政府系ファンド、中国の個人投資家からの継続的な買いが市場を下支えしており、金価格の回復力は、欧米のアナリストやトレーダー、投資家にとっても予想外の展開となっている。」と、顧客の約9割が欧米在住であるブリオンボールトのリサーチダイレクター、エイドリアン・アッシュは語っている。

「もし、4月に金地金が3500ドルが中長期的な高値であるとすれば、その翌月に金価格が上昇し、月間平均で新記録を更新したのは史上初の事例となる。」とも述べている。



5月は、金の利益確定売却分が購入によって相殺された月となった。4月は大幅は購入超過だったのに対し、5月は売却と購入が均衡し、ブリオンボールトの全体の金保有量は43.7トンとほぼ横ばいで、評価額は約46億ドル(6626億円)に達している。

新規の投資家数は、4月の50ヶ月ぶりの高水準からは37.4%減少したものの、前年同月比では62.8%増、過去5年間の月間平均比でも26.5%上回っていた。

ただし、米国では貴金属への新規投資意欲がやや弱く、ブリオンボールトを新たに利用した人数は、4月の48ヶ月ぶりの高水準から44.6%減少。2024年5月比で13.9%減、過去5年間の月間平均比では16.4%下回っていた。

ただし、米国居住者に限った金地金の購入者と売却者の比率は2ヶ月連続で上昇し、米国のみの金投資家インデックスは、過去2年間で最高の52.7に達している。

「米国の例外主義は、ポートフォリオの保険の必要性にまで及んでいるようだ。しかし、貴金属に対する投資家センチメントは、欧州に比べて低い水準からではあるものの、上昇傾向にある。」とアッシュは分析する。



銀の月間平均価格は、4月の米国の関税政策の混乱の中で、3月の12.5年ぶりの高値(トロイオンスあたり33.18ドル)から2.8%下落したが、5月には1.4%回復し、32.70ドルとなった。

4月には購入量が売却量を大幅に上回ったが、5月は購入と売却が拮抗。ブリオンボールトの顧客の総保有銀地金量は、1,160トン超で、評価額では約12億ドル(1728億円)となっていた。

一方で、銀投資家インデックスは51.8と、4月の49ヶ月ぶりの高水準から6.5ポイント低下していた。

「5月の銀投資家インデックスの急落は、4月に発生したバーゲンハンティング的な買いが、一時的な盛り上がりであったことを示しています。しかし、産業用途の割合が高い銀の価格が引き続き上昇していることから、金投資家インデックスと同様に、センチメントは上昇トレンドを維持している。」

銀価格は12ヶ月平均でも、2013年以来初めてトロイオンスあたり31ドルを超えていた。

金の月間平均上昇率は、2020年4月から8月のコロナ禍での上昇率に匹敵しており、2011年9月における世界金融危機時のピーク以来である8ヶ月連続での上昇となった。これは、2006年以来で最も好調な年明けを示している。

過去に金価格が「ピークを打った」とされる局面では、いずれもその後に月間平均価格が下落する傾向が見られた。たとえば、1980年1月のピーク(850ドル)後には2月に1.5%下落、2008年3月の1,000ドル突破後には翌月6.1%の下落、2011年9月の1920ドルの高値後には10月に6.0%、2020年8月の2075ドルの後には9月に2.4%の下落が見られた。

「トランプ政権が暗号資産を推進する一方で、彼の政策がもたらす不透明さと市場の変動性は、金にとって新たな上昇の土壌となっている。その結果、金は現時点で2025年の最も好調な資産となっており、21世紀における金の市場平均を上回るリターンの拡大が続いている。長期的なポートフォリオ資産としての有効性が改めて示されている。」とアッシュは述べている。

以上

連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子 
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804  
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com


ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
金投資家インデックスは、新型コロナウィルスが世界的に広がった2020年3月に65.9と10年間の最高値を記録し、2024年3月には47.5と記録的な低水準に下げていた。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事を参照。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。今年4月で20年を迎える専門市場の低コストと深い流動性とセキュリティーを提供するサービスを利用して、現段階で175か国からの115,000人を超える個人投資家が59億ドル(8550億円)相当の地金を保管ている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。

•    オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•    米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•    地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•    日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。

ブリオンボールトは、2008年から専門業界団体であるロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員であり、2017年には、鉱業業界が支援するワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルのオンライン保管金銀地金パートナーに選ばれる。BBC、Handelsblatt、Bloomberg、日経ビジネスなど、英国内外の主要メディアで定期的に引用されているブリオンボールトは、2022年に3度目の英国企業女王賞を受賞している。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp

ブリオンボールト

プロフィール

ブリオンボールト

BullionVault

英国最大手のオンライン金地金取引サービス提供。英国女王賞を2009年に革新部門、2013年に国際取引部門で受賞。7万人を超える顧客の約38.7トンの金地金を保管。 ロンドン貴金属市場協会の正会員。ワールド ゴールド カウンシルの関連会社とロスチャイルドファンドが資本参加。

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