明けましておめでとうございます!―「鳥」のコイン
明けましておめでとうございます!本年も何卒宜しくお願い申し上げます。2017年が皆様にとって、想い出に残る素晴らしい年になることを、心よりお祈りいたします。
ところで今年は「酉年」ですね。
上のあいさつ画像で用いた「雄鶏」のコインは、20世紀初頭のフランスで発行されていた20フラン金貨です。
胸を張った立派な姿ですよね。雄鶏はフランス共和国のシンボルであり、コインだけでなく様々な記念物などにも採用されているようです。
この「鳥」をテーマにいくつかコインをご紹介しましょう。
エーゲ海のレスボス島で発行された小型のエレクトラム貨。わずか10mmの幅の中に、雄鶏の頭部が緻密に刻まれています。陰刻で表現されていることもまた特色です。このコインは2500年以上前に造られたものですが、現在の技術力でも、手作業で彫刻したとは思えない出来栄えです。
また2500年前の古代ギリシャ時代から、ニワトリが人間にとってすでに身近な存在であったことが窺えます。
おなじみ「アテネのフクロウ銀貨」。すべてテトラドラクマ(4ドラクマ)銀貨ですが、時代によってフクロウの造形が変化しているのが面白いですね。
タイプ別に並べて集めてみるのも興味深いかもしれません。
表面は知恵と戦術を司る女神アテナですが、その聖鳥は「フクロウ」とされています。フクロウは夜になると飛び回り、夜中に起こっていることを調べて女神に報告したとされます。
ちなみにこのコインに刻まれているフクロウは、正式には「コキンメフクロウ」という種類のフクロウのようです。
古代ギリシャではアテナ神は大変人気のある女神でした。実はアテネ以外にもアテナ神を刻んだコインは多数あり、それと同じくフクロウも登場しました。
以下ではその例をいくつかご紹介します。
椰子の枝葉を掴んで飛び立つフクロウ。動きのある可愛らしい造形。
竿を背負ったフクロウ。耳羽が生えたタイプで、他のフクロウとは違う種類のよう。
羽を広げたフクロウ。細かいリアルな羽が特徴的。
目の大きなフクロウ。背後には夜を示す三日月。
こちらも羽を広げたフクロウ。直立した細長い体型。
目が印象的なフクロウ。足で蛇を捕えている。
こちらのフクロウはオリーヴの枝葉と共に。
このように古代ギリシャ時代はフクロウをはじめ、自然の動植物をモティーフにしたコインが多くみられました。
しかしローマ時代以降その傾向は薄れ、人物像や紋章がメインになりました。
動植物がクローズアップされるのは近現代になってからです。
パラダイスバードこと、「極楽鳥」の愛称で知られる有名な金貨。当時のドイツ本国で発行されていた20マルク金貨と同じ規格(K900 7.96g)で造られています。
この金貨はプルーフ仕上げで発行数も非常に少なかったのですが、通常に造られたものも1,500枚で単年の発行です。
当時のニューギニアの現地社会は物々交換が基本で、「貨幣」自体を必要としない経済でした。そのため、この金貨もドイツからニューギニアへ運ばれたものは少なく、むしろドイツ国内の収集家向けに発行されたものかもしれません。
1975年の独立以降、パプアニューギニアの国鳥はこの極楽鳥になり、コインにも盛んに表現されています。
現代ではアジア・アフリカの独立国からの記念貨発行が多く、必然的にその国の代表的な鳥を採用することが多いようです。
20世紀以降、その国を象徴する「国鳥」を定めることが一般化したことも関係し、鳥のコインは飛躍的に増えています。
「酉年」の今年が、皆様にとって飛躍の年になりますように。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
【フジタクさんのお店】
ワールドコインギャラリー:1989年創業アンティークコインとコインジュエリーの専門店