Vol.20-"夢"や"憧れ"からできている金箔
箔座に入社するまで、「金」というものにほとんど、いいえ、全くといってよいほど縁のなかったワタクシです。せいぜいで、ピアス金具の１８Ｋくらいでしょうか。
入社して、いくら薄い「箔」とはいえ、先輩社員が切廻しの金箔を箔箸でどっさりとつかんで秤に載せていた様子を見て目が点になりました。
初めて金の１ｋｇバーを見たのも入社してからです。驚きこそありませんが、今でも金のバーをたまに見かけると「おっ！」とテンションがあがります。だって昨今の金相場は上空を旋回中（２０14年５月9日現在で ４，５９４円／ｇ） 。１kgバーということは、えっと…早く金庫に閉まっちゃってっ！
確かに金は高価な金属。だからといって、単なる贅沢品じゃあないんです。
展延性、耐腐食性、導電性、耐熱性に優れ、それゆえにさまざまな分野でも果たしている役割が大きいのです。
まず展延性、つまり、その柔らかさゆえに薄く広げたり延ばしたりできる特性があります。１ｇの金を約３kmの糸状に延ばせるといいます。金箔はこの展延性あってのものです。
耐腐食性に優れているということとは、熱や湿気、空気や薬品などさまざまな刺激の中にあっても錆びたり腐食したりしないということ。ツタンカーメンの黄金のマスク、身近なところでは金の入れ歯とか。口の中は常に湿っており、塩分やら糖分やらアルコールやら…さまざまな成分のカーニバル状態。そんな中でも動じず、酸にもアルカリにも侵されずはさすがです。
金は、小さいのに持ってみたらずっしりと重たい。金の比重は約１９．３。つまり、１立方?あたり、水の１９．３倍の１９．３g。濃いですねぇ。
金箔を体感できる空間「箔座日本橋」の「黄金の天空」。３６０度金箔！ まさに夢のような空間です。中で、うっとりしちゃってください。
金箔は向こう側が透けて見えるほど極薄。ここまで薄く延ばせるのは金の特性ゆえ。さすが脅威の展延性！
先ほど、金に縁がなかった、と申しましたが、実は金は身近なところに存在していました！
腐食に強く、展延性があり、電気抵抗が少なく導電性が高い。こういった特性から、携帯電話やパソコン、テレビなどの半導体にも金が使われているのです。それぞれに使用されている金はわずかではありますが、例えば携帯電話でいえば１台あたり約０．０１４g（金箔１枚より軽い…）で、約７万台の携帯電話から１ｋｇの金が回収できたそうです。なんと！
医療の分野でも力を発揮し、リウマチの治療薬の金製剤、インフルエンザなどの診断キットにも使われています。
もちろん、美容にもいいんですよお。何がいいかって？ １分じゃわかりませんから、「プラチナ金箔コスメティクス」を使ってみてくださいねー
金は宇宙でも活躍しているのをご存知でしょうか。宇宙空間での太陽の熱や光などから身を守る宇宙服にも欠かせませんし、アポロ１１号には、金とプラチナ合わせて約１ｔが使われたそうです。人類の未来のためにも活躍中！
金は、憧れでありながら身近な存在。まだまだ未開の可能性をもった、夢のある素材。ということは…金箔は夢のひとひら、金箔の束は夢の束！ ロマンチック? と思っていたら事務所から聞こえてきた言葉。
「あ、やぶれちゃった」
何だってっ！？ そんなセリフ聞きたくなーい！！
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