ゴールドコラム & 特集

Vol.7-金箔であって金箔ではない!?

金箔ビギナーの頃は、金箔のことを知るに従って驚くことがいろいろとあります。
よくある勘違いは「金箔って金100%でつくられているんじゃないの!?」ということ。

金だけでつくられる純金24Kの金箔もありますが、工芸品などにもっとも一般的に使われるのは四号色(22.66K)というものです。合金配合率は純金94.438%、純銀4.901%、純銅0.661%。微量の銀と銅が配合されています。他にもさまざまな合金配合率のものがありますが、そのほとんどに銀が配合されています。銀を入れるのは、製箔しやすい、つまりきれいに薄く延ばしやすいことから。銀が少ないほど赤みを帯び、多いほど青みがかった箔になります。「定色」という金箔があり、これは純金58.824%、純銀41.176%というもの。ここより純金の配合率が高いものを金箔と定めたことから、この箔は「定色」という名前がついています。

合金配合率、製法、サイズなどの違いによってたくさんある金箔のなかから、お客様は用途に応じて金箔をお選びになるのです。


金箔 定色。銀の配合率が高く、別名水金箔(みずきんはく)とも言うくらい、青みがかっています。俗に言う14K。


洋箔 四号色。銅と亜鉛の合金でも、金色の箔に! これでは一般の方は、なかなか見分けがつきませぬ。


箔座の金箔商品には、洋箔は使用せず、基本的に22.66Kの金箔や純金プラチナ箔を使用。何でしたら、店頭でご確認いただければ…。


そうか、金箔は金だけでできているんじゃないのか…これはすんなりと納得。しかしここで新たな衝撃的事実が!

「金箔には、金が配合されていないものもある」

はぁ? それってどういうこと?

「金が使われていない金箔」の正体は「真鍮箔」で、通称「洋箔」または「洋金箔」。銅と亜鉛の合金から成る‘金色をした’箔で、これまた二号色、三号色、四号色とあり、一般の方にはなかなか「金箔」(以下、金が配合されている金箔を意味します)と見分けがつきません。

騙された! と怒ることなかれ。「洋箔」もれっきとした箔なのです。「金箔」に比べて価格がかなり安く、昔から「金箔」の代用品として工芸品や屏風、額縁などに使われてきました。今では、金沢の洋箔は全国シェア100%!
金が入っていないからといって「洋箔」はダメな箔ではありません。安価で金のような豪華な雰囲気が楽しめるうえに扱いやすい、といったメリットがあります。また、「洋箔」を加工して、独特の表情を出すこともできます。「洋箔」という箔の存在をきちんと知らせずに、「金箔」と偽ることがダメなのです。

金箔商品をお求めの際には、箔の種類を要チェックです。使われている箔は「金箔」なのか、それとも「洋箔」なのか。仮に「洋箔」であったところで、がっかりする必要はありません。デザインや性能、価格などさまざまな点から、製品として魅力的であれば何より。大切なのは、それぞれの箔ならではの‘よいところ’がその商品に現れているかどうかです。

最後に、「金箔」と「洋箔」を簡単に区別する方法をお教えしましょう。箔の小片を手のひらにのせ、指で摺りこんだ後に匂いを嗅いでみてください。10円玉のような匂いがしたらそれは「洋箔」…あっ!でも工芸品はそんなことできない! では、お店の方に率直に聞いてみるのがよろしいかと…。


箔座

プロフィール

箔座

HAKUZA

世界に誇る伝統の技を残し、世界遺産となった中尊寺金色堂など重要文化財の金箔を手がける。2002年、「純金プラチナ箔」(特許取得)を開発。箔本来の力と美しさを「箔品」として表現し、「箔座本店」をはじめとする石川県金沢市の直営店のほか、東京日本橋で旗艦店「箔座日本橋」を展開。

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