黄金に輝く菩薩、極楽浄土へ―當麻寺 練供養会式
キーワード練供養会式
日本三浄土曼荼羅の1つ、當麻曼荼羅(たいままんだら)を造った中将姫。奈良・當麻寺(たいまでら)では、中将姫が極楽浄土へ旅立つさまを再現する「練供養会式(ねりくようえしき)」が、毎年命日である5月14日に営まれています。
▼當麻寺―中将姫さまと當麻曼荼羅
「練供養会式」は、正式名称「聖衆来迎練供養会式(しょうじゅらいごうねりくようえしき)」という1000年もの歴史持つ名高い法会で、日本各地で行われている練供養の発祥となります。
こちらは當麻寺の本堂である「曼荼羅堂(国宝)」で、この練供養会式の日だけは「極楽堂」と呼ばれます。下の写真の通り、当日は長い掛け橋が渡され、極楽浄土から二十五菩薩に扮した人たちが、娑婆堂に進み中将姫を蓮台に乗せて浄土へ導く、来迎引接のさまを再現します。
16時からの練供養会式の前に、護念院では住職による練供養会式についての解説が行われます。
練供養の流れ簡単に説明すると、「極楽堂」と「娑婆堂(しゃばどう)」との間に現世と浄土を結ぶ「来迎橋(らいごうばし)」と呼ばれる橋が架けられ、鐘の音を合図に観音菩薩・勢至菩薩・普賢菩薩などの二十五菩薩が、現世に里帰りした中将姫を「娑婆堂」までお迎えにあがり、極楽堂に導く(=極楽へ導く)、という儀式となっています。
16時前より、まずは中将姫の像が輿にのせられて娑婆堂へ向かいます。その後、極楽堂へ僧侶たちがのぼっていきます。
続いて極楽堂から娑婆堂方面へ、お稚児(ちご)さんの行列が続きます。
そしてその後金色のお面が輝く「二十五菩薩」の行列が続きます。こちらのお面は前が見えないため、介添え人に手を引かれながらゆっくりと進んでいきます。
娑婆(現世)へと向かう二十五菩薩の行列。
最後尾には主役である「観音」「勢至」「普賢」の三菩薩が現世に里帰りした中将姫をお迎えに来迎橋を渡っていきます。先頭の「観音菩薩」は、手に蓮座を持ち、中将姫を救い上げるという意味の振り下ろし・左右に振り上げるという”スクイボトケ”と呼ばれる動作を繰り返しながら進んでいきます。
続く「勢至菩薩」は、合掌しながら体をねじって進む”オガミボトケ”と呼ばれる動作を繰り返しながら進んでいきます。
しんがりは天蓋をもった「普賢菩薩」がつとめます。
娑婆堂では「観音菩薩」が持つ金蓮台の上に成仏した中将姫の像がのせられ、「観音菩薩」が先頭となり「極楽堂」へと戻っていきます。
一行が「極楽堂」へと向かうことには夕陽が傾き、紫雲たなびく二上山はさながら西方極楽浄土を思わせる状況となり、「お練り」は荘厳な雰囲気の中で終わりの時を迎えます。
- 撮影者:GOLDNEWS
- 場所:奈良・葛城市 當麻寺