インフレの高まりにもかかわらず金投資需要に変化は見られず
欧米の株価が史上最高値更新を続ける中で、インフレの高まりにもかかわらず金投資需要に変化は見られず
2021年11月4日 - ロンドン - インフレ率が数十年来の高さをつけているにもかかわらず、この秋も投資家の金への興味は低く、貴金属投資へのセンチメントは2019年半ば以降で最も低い水準に下げていた。
これは、個人投資家が金地金現物を専門市場が認可する保管場所で低い費用で保険をかけて貯蔵し、売買をすることができるサービスを提供する、フィンテック企業のブリオンボールトがまとめる金投資家インデックスによって明らかとなった。
米国のインフレ率は30年ぶりの高水準であり、連邦準備制度理事会は今週中にも新たな量的緩和縮小を行うことで、歴史的にも大規模な景気刺激策の縮小を始めることが予想されていた。そこで、米国ドル高により、10月の金価格は4月以来の低水準であるトロイオンスあたり1777ドルを下回りったものの、ユーロ建てと英国ポンド建ての価格はわずかに上昇していた。
そのような中で、ブリオンボールトの99,000人を超える顧客の中で、金地金購入者数は9月に比べて13.9%減少し、金地金売却者数は12.7%増加していた。
そこで、世界最大のオンラインでの現物地金市場を提供するブリオンボールトを利用する個人投資家の取引データを基に算出し、地金投資へのセンチメントを表す指標である金投資家インデックスは、9月の54.7から53.4に下がり、2020年1月のコロナ危機以前の水準をわずかに下回り、2019年7月以来の最低値を記録することとなった。
金投資家インデックスは、価格が急激に上昇した2019年6月に10年ぶりの低水準となる49.1を記録し、その後コロナ危機が発生した2020年3月に10年ぶりの高水準となる65.9を記録していた。
50.0の数値は、その月に金保有を開始、もしくは金保有量を増加した人の数と、金を減少、もしくは全てを売却した人の数が完璧に一致していることを示す。
このデータについて、ブリオンボールトのリサーチダイレクターのエイドリアン・アッシュは次のように述べていまる
「生活費の高騰にもかかわらず、個人投資家は現段階までは金へ興味は薄いと言えるだろう。これは、主要中央銀行が新興国に追随して金融引き締めを開始しようとしているためで、金利がインフレのペースをはるかに下回っているにもかかわらず、金利を産まない金にとって逆風となっている。
株式市場の史上最高値更新も、エネルギーやその他の商品価格を上昇させるサプライチェーン毀損同様に、金を日陰に追いやっている。これらのことは、金のポートフォリオ・ヘッジとしての価値を損なうものではない。それどころか、金が最も高い収益を上げるのは、株式が長期的に損失を被ったときであり、今日金を買おうとしている投資家は、市場が閑散とし、他の資産価格がますます上昇している機会を利用している。」
金購入者の数が金売却者の数を継続して上回っていることから、10月の金需要は重量ベースでプラスとなり、123キログラムのネット購入量で前月の売却量を逆転していた。
9月にブリオンボールトの顧客は、世界的なコロナ危機が発生した2020年1月以来、初めてネットで金地金を売却し、87キログラムのネット売却量を記録していた。
しかし、10月に重量ベースで増加したことにより、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、トロント、チューリッヒで保管されている、ブリオンボールトの顧客が所有している金地金の総量は47.7トンを超え、月末の史上最高値を更新し、その価値は27億ドル(3090億円)となっていた。
銀価格も金と同様に、10月はユーロ建てと英国ポンド建てではわずかに上昇していたが、米国ドル建てでは下落し、トロイオンスあたり23.30ドルと、2020年7月以来の月間最低水準を記録していた。
金と同様に、銀の購入者数は全体的に減少し、前月比28.9%減となる中で、売却者数は16.6%増と、銀価格がトロイオンスあたり4ドル以上高かった5月以来の高水準となっていた。
そのために、銀投資家インデックスは4月以降で最も速いペースで低下し、3ポイント低下の51.8となり、金と同様に2020年1月のコロナ危機前の低い水準を下回り、2019年7月以降で最も低い値となっていた。
しかし、金と同様に銀のネット需要は堅調に増加し、9.9トンに達し、ブリオンボールトの顧客が保有している銀地金の総量は1,244トンを超え、評価額9億6,100万ドル(1,090億円)となり、史上最高記録を更新していた。
以上
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
この数値の最高値は、欧州の債務危機の最中の2011年9月に金価格がドル建てで最高値を付けていた際の71.1で、それは英国の多くの都市で暴動が起こった翌月でもあった。そして、この数値の最低値は50.5で、金価格が数年ぶりの低い値となっていた2014年から2015年の冬であった。それ以来、金・銀投資家インデックスは金・銀価格との強い負の相関性を保っており、トランプ大統領が選出されて以来21ヶ月中の18ヶ月がこの傾向となっている。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現時点でほぼ10万人の175カ国の顧客(89%が北アメリカと西ヨーロッパに居住)が、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
•オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp