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1月は新規顧客数が弱気市場が底打ちした2016年以来の低いものに

2022年2 月3日ロンドン – ブリオンボールトの最新データは、インフレ高の中でも個人投資家の金と銀の投資需要が減少していたことを示し、新規顧客数からは、歴史的に「インフレ・ヘッジ」と見られている貴金属への新たな関心も低下し、過去5年間で最も低い水準の1月の数値となっていたことが明らかとなった。

ブリオンボールトにおいて、1月にドル建て価格で11月以来の高値、ポンド建てとユーロ建てで昨年1月以来の高値に近い価格を付けたことで、個人投資家は保有する金地金全体の0.4%を売却していた。

一方銀は、レディットや他のソーシャルメディア上の「銀のショートスクィーズ(#silversqueeze)」運動によって、2021年の初頭に投資需要がブリオンボールトが銀の提供を開始した2009年以来の記録的高さとなった一周年の1月に、個人投資家は前月過去最高を付けた銀保有量の1.8%を売却していた。

このデータについて、現在世界の10万人(89%が欧米在住)の顧客が、37億ドル(4250億円)の資産を預けているブリオンボールトのリサーチ・ディレクターであるエイドリアン・アッシュは、次のようにコメントしている。

「1月は通常、新年に投資を見直した後、リスクを分散するために貴金属を購入する人が急増する。しかし、株式市場の下落に加え、過去30年間で最悪のインフレ、そしてウクライナにおけるNATOとロシアの紛争の脅威が明らかになったにもかかわらず、2022年の初頭に現物の地金の魅力は薄れていた。

それは、『価格高騰』が一因で、先月金は年間平均としては最高値となった2021年の平均価格を上回って取引され、歴史的に見ると1月に今年の価格より高く取引されたことはない。それが利益確定の売却を誘い、新規の買い手を遠ざけることとなった。

そして、米国株や暗号通貨の急落からの突然の反転は、これらの資産におけるFOMO(Fear of missing out:取り残されることの恐れ)」が要因となり、パンデミックによる巨額の利益を逃した投資家の興味をこれら資産へと向かわせることとなったのかもしれない。より明確であるのは、中央銀行の利上げが早期に加速する懸念よりも、インフレ懸念がいまだ金融市場において低いものであることから、実質金利が上昇し金や銀を保有する機会コストを引き上げている。

しかし、金利引き上げペースの加速観測が、テクノロジー株と暗号資産を急落させる一方で、貴金属は堅調で、売却量も限定的ではある。これは、コロナ危機時に初めて貴金属を購入した記録的数の個人投資家を含む、既存の金と銀の投資家の間で、ポートフォリオの保険としての金と銀の役割は未だ重要であることを示唆している。」

2022年の1月は、金価格が4年間の弱気相場の後に底を打った2016年以来、新規投資家数が最も少ない月となり、前月12月の新規顧客数を下回り、これは2012年の新年以来初めてのことであった。

過去10年間で、1月の貴金属の新規顧客数は各年の月平均の8倍ほどと、年間の新規顧客総数の10.8%を占めて、他のどの月よりも多くなっていた。



ブリオンボールトで金地金の保有を開始もしくは増加させた人の数は、12月より3.2%増加したものの、既存の所有者が先月の安値から金が4.0%上げる変動を見せたこと、そして月平均で1.7%の上昇を見せたことで、月間に売却量が購入量を上回っていたネット売却者数は33.6%増加していた。

その結果、現物地金への個人投資家のセンチメントを表すブリオンボールト独自の指標である金投資家インデックスは、前月の54.2から53.8に押し下げられていた。

50.0を超える数値は、買い手が売り手よりも多いことを意味する。この指数は2020年3月にコロナ危機が始まった際に10年ぶりの高値となる65.9を記録している。

そのため、ブリオンボールトの顧客がロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒの中から選択できる専門保管場所で保険をかけて貯蔵している個人所有の金地金の総量は47.3トンとなり、2021年10月に記録した最高保有量を0.8%下回ることとなった。



1月のドル建て銀地金価格は、金地金の3倍の速さで最低値から最高値まで12.4%上昇し、月平均価格において2.9%上昇したことからも、ブリオンボールトの顧客の多くが利益確定の売却を行うこととなった。

これは、2022年1月1日にブリオンボールトで顧客が保有していた銀地金の約1.8%に相当する。やはり高値を付けた11月には、ブリオンボールトの顧客が12年ぶりに銀地金のネット売却に転たものの、12月には9.1トン銀地金の保管量は増加していた。しかし、1月末の銀地金保管総量は、1,228.2トンに減少することとなった。

このような中、購入が売却を上回ったネット購入者数はネット売却者数を上回っていたものの、1月の価格高騰により、ネット購入者数は12月の数値から21.7%減少し、ネット売却者数は48.8%急増したため、銀投資家インデックスは30ヶ月ぶりの低い数値である51.7に減少し、2019年7月から最も低い数値となっていた。

以上

ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
この数値の最高値は、欧州の債務危機の最中の2011年9月に金価格がドル建てで最高値を付けていた際の71.1で、それは英国の多くの都市で暴動が起こった翌月でもあった。そして、この数値の最低値は50.5で、金価格が数年ぶりの低い値となっていた2014年から2015年の冬であった。それ以来、金・銀投資家インデックスは金・銀価格との強い負の相関性を保っており、トランプ大統領が選出されて以来21ヶ月中の18ヶ月がこの傾向となっている。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現時点でほぼ10万人の175カ国の顧客(89%が北アメリカと西ヨーロッパに居住)が、380億ドル(4,340億円)相当の資産を保管して、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
•   オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
•   米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
•   地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
•   日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。

ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp

ブリオンボールト

プロフィール

ブリオンボールト

BullionVault

英国最大手のオンライン金地金取引サービス提供。英国女王賞を2009年に革新部門、2013年に国際取引部門で受賞。7万人を超える顧客の約38.7トンの金地金を保管。 ロンドン貴金属市場協会の正会員。ワールド ゴールド カウンシルの関連会社とロスチャイルドファンドが資本参加。

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