米銀行不安と債務上限問題で月間金価格が2000ドルと最高値をつける中で 米国からの金投資が急増
2023年5月2日ロンドン - 米国銀行セクターへの不安と政府の債務上限問題への懸念が高まる中で、米国からの金投資需要の急増により、欧米の個人投資家の今春の利益確定が緩和されていたことが、ブリオンボールトの最新のデータで明らかとなった。
金投資家インデックスは、世界でも有数なオンライン貴金属現物市場を提供するブリオンボールトで実際に行われた顧客取引から算出されている貴金属投資への個人投資家のセンチメントを数値化した指標となる。
4月に金価格は、米ドル、ユーロ、ポンド、円、その他多くの通貨での月平均価格が史上最高値を更新し、現物市場の世界指標であるロンドン貴金属市場協会(LBMA)が発表する価格で4.6%上昇し、トロイオンスあたり平均2000.42ドルとなっていた。
ブリオンボールトで金地金の購入者数は、3月の過去5ヶ月間の最高値から10.4%減少していたものの、売却者数は3月の史上最高水準から41.6%減少していた。その結果、金投資家インデックスは53.9となり、前月比2.0ポイント上昇し、過去12ヶ月間で金価格と逆の動きをしなかった2度目の月となっていた。
2020年3月に65.9という10年ぶりの高値を記録した金投資家インデックスは、月間で購入者数と売却者数が完全に一致した場合、50.0となる。
このデータについて、ブリオンボールトのリサーチディレクターであるエイドリアン・アッシュは、次のようにコメントしている。
「2023年初頭に金がトロイオンスあたり1900ドルを超えて上昇した際に利益確定売りが急増した後に、個人投資家はこの高い価格水準に慣れつつあり、先月の平均2000ドルという過去最高値で保有する金を増加させている。
また、世界的に貴金属の新規投資が増加しているのは、政治的・金融的ストレスが高まっていることが背景にあり、銀行セクターへの不安と債務上限問題への懸念が高まる中で、米国の中で投資意欲が高まっている。これは、昨年春のロシアのウクライナ侵攻に対するユーロ圏の投資家の反応や、昨年9月の英国政府の小型補正予算による英金融市場不安時の英国の投資家の反応と似通った動きとなっている。」
そのような中、4月の新規顧客数は、3月の1年ぶりの高水準から29.9%減少していたものの、米国からの新規顧客数は28.9%増加し、2021年4月以来の最高値で、12ヶ月間の平均から倍以上に増加していた。
この109.3%という急上昇は、ユーロ圏の新規投資家数が4月に前年同月比で3.3%減少し、英国においては.1%の上昇にとどまったのとは対照的となっていた。
エイドリアンは次のように述べている。
「個人投資家の需要と同様に、ETFへの資金流入と金デリバティブの投機的取引は、金が前回2000ドルを超えた際と比較して未だ控えめなままだ。中国の消費者需要と新興国の中央銀行による執拗な金購入から、現物価格が強いサポートを受け続けている間、金投資需要は増加し、価格をさらに押し上げる余地が十分にある。」
金価格が過去最高値を更新しているにもかかわらず、ブリオンボールトを利用している投資家は、先月は前年12月以来最も金保有量を増やし、月間で0.2%増と、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから顧客が選んだ場所で保険をかけて保管されている金総量は47.7トンとなっていた。
この量は、多くの中央銀行が保管している金準備よりも多く、その総量は12月の最高値を0.4トン下回っているものの、評価額においては30億ドル(4110億円)相当を超えて史上最高となっていた。
4月に金が月間平均で4.6%上昇し過去最高値を更新したのに対し、銀の月平均価格は14.0%上昇し、2020年8月以来最も速いペースの上昇率となり、トロイオンスあたり25.00ドルと13ヶ月ぶりの高値となっていた。
ブリオンボールトにおいては、個人投資家が銀地金や銀貨を販売する小売店が課する取引費用を大きく下回る費用で銀地金を取引できるため、この高騰によって利益確定が進み、6ヶ月連続で売却者数が購入者数を上回り、銀投資家インデックスは47.9まで下げ、過去最低だった12月をわずか0.4ポイント上回り、価格が急落した際に急騰していた3月からは4.5ポイントと大きく下げることとなった。
ブリオンボールトの顧客は、2022年1月以来最も多い20トンの銀地金を売却し、ロンドン、シンガポール、トロント、チューリッヒの顧客が希望する保管場所で貯蔵されている銀地金の総量は、3ヶ月間で最も少ない1243トンにまで減少することとなった。
このように保管されれいる貴金属が売却によって減少したにもかかわらず、ブリオンボールトの顧客が保有する銀の評価額は、2.0%上昇し、9億8500万ドル(1350億円)相当と、2021年初頭のソーシャルメディア上での#silversqueeze(シルバースクィーズ)の呼びかけで急増して10億ドルを超えて以来の高値をつけていた。
「ボラティリティと強い上昇傾向が、貴金属をとても魅力的なものにしており、素早い価格の動きを利用したいと考えるアクティブな投資家は、現物所有の確実性と安全性の恩恵をもまた受けている。」とエィドリアンはこの状況を解説している。
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
直通電話番号: +44(0)20 8846 3804
メールアドレス:atsuko.whitehouse@bullionvault.com
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。2005年にサービスを開始し、現段階で10万人を超える個人投資家が41億ドル(5640億円)相当の地金を保管し、専門市場の取引料率の低さと、流動性の高さ、そして厳重なセキュリティーという恩恵を受けている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
• オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
• 米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
• 地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
• 日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年にロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員となった。そして2009年には、個人投資家が地金専門市場にアクセスすることを可能としたことから、英国女王賞を革新部門で受賞し、2013年4月には、過去4年間の国際取引が140%増加していることが認められ、英国女王賞の国際取引 部門で2度目の受賞をしている。また、2011年には英主要紙のサンデー・タイムズの成長のスピードと規模を測る「Fast Track 100 (急激に成長している非上場企業100社)と Top Track 250(中規模非公開企業トップ250社)」の両方のカテゴリーにランクされた4つの企業の1社となった。2017年3月には、プラチナ業界のマーケティング団体のワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルによってオンライン・プラチナ地金投資保管のパートナーとして選ばれる。ブリオンボールトは、2022年5月から10月にかけて大英図書館で開催されている「Gold」展のスポンサーとなっている。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp