トランプ大統領の貿易関税発動で金価格が史上最高値をつける中で 投資家は金の利益確定の売却を続ける
2025年2月4日ロンドン - 2025年の新年を迎え、新たな投資家が金地金現物購入を行う一方で、既存の金地金保有者は、ドナルド・トランプ氏の大統領就任による新たな政策への懸念からも、「安全な逃避先」である金地金が史上最高値を更新する中、保有金地金の売却を続けて利益を確定している。
オンラインの貴金属投資サービスを提供する世界大手のブリオンボールトは、1月に過去12ヶ月間の平均の2倍以上の新規顧客数を記録していた。しかし、同月の顧客全体が保有する金地金保有量は月間で減少し、この傾向は過去17ヶ月で16ヶ月続いていた。
この間金価格は投資家が売却するよりもはるかに速いスピードで上昇し続けていた。そのため、20年の歴史を持つ英国のフィンテック企業ブリオンボールトの顧客の金保有評価額は7.4%上昇し、40億ドル(日本円建てでは5.9%増の6150億円)とほぼ新記録の水準となっていた。
「トランプ大統領の貿易関税は、金価格を記録的な高値へと押し上げている最新の危機に過ぎない。金価格は、5年前にコロナ危機が発生して以来、欧米の投資家にとって2倍以上になっている。この記録的な高値で投資家は売却を急ぐのではなく、わずかな利益確定のみを行っている。そのため、ポートフォリオの中に残されている金は、2025年に発生しているた新たなリスクとボラティリティに対するヘッジとして値を上げ続けている。」とブリオンボールトのリサーチディレクターのエィドリアン・アッシュは述べている。
![](https://goldnews.jp/archives/009/202502/bacc8bdf429b004b467792fc48ecc8db77759e1f4fe92a6d92f4ae7d2f66cab2.png)
1月に月間で新たに金を購入、もしくは追加購入をした投資家の数は、先月12月の数字から3.7%増加していた。しかし、売却者数もまた61.5%急増して3ヶ月ぶりの高水準で、昨年3月以来の急げきな上げ幅となっていた。
この結果、金投資家インデックスは1.6ポイント低下し52.7と9月以来の低水準となり、11月の米国選挙でトランプ大統領の共和党が、大統領選と上下両院の過半数を獲得する圧勝をした際に記録した1年半ぶりの高水準を2.4ポイント下回っていた。
2009年以来、ブリオンボールトで実際に取引されたデータを基に毎月算出している投資家の金へのセンチメントを表す金投資家インデックスは、月間に売却量を上回る購入をしたネットの購入者数と購入量を上回る売却をしたネットの売却者数のバランスの数値であり、2020年3月にコロナ危機が世界的に広まった際に、65.9で10年間のピークを記録し、昨年3月には47.5と過去最低を記録し、50を下回ったのは過去3度のみとなっている。
トランプ大統領の貿易関税が米国の金輸入に打撃を与えるという脅威が、銀行やその他のディーラーに金地金をニューヨークへ持ち込もうとする動きを引き起こし、世界の取引と保管の中心地であるロンドンで「金が不足している」 という話が伝えられていた。しかし、このような噂は、中国やインドといった世界最大及び第二の消費国からの金需要が、金が過去最高値を更新しているにもかかわらず、現在も低調であること、また欧米の金市場への投資フローが全体的に横ばいからマイナスであることを見逃している。そこで、現在は金の輸送を行う物流企業が、米国への金地金の移送量の多さによるビジネス機会の高まりを喜んでいるだけとなっている。
「現在、コメックスが承認した倉庫に保管されている金の在庫は、米国の消費者需要の3.9年分に相当し、その3分の2は、米国自身の金採掘の生産高で毎年賄うことが可能な量だ。また、トランプ大統領の輸入関税が米国へ輸入される全ての貴金属に適用されたとしても、米国内の金価格は、世界的な相場と比較し、抑制されることとなるだろう。
長期的には、その金の多くがロンドン、スイス、そして他の世界の金地金市場へと戻っていくことになる。それは、コロナ危機の初期段階のショックの間に見られた米国の金保管量が急増した際と同じだ。」
2025年1月、ブリオンボールトの口座を新たに開設し、すでに保管されている金、銀地金、プラチナ、パラジウムを初めて購入した投資家数は、好調を維持している。この新規顧客数は、2024年の異例の低調なスタートから2倍以上(117.4%)増加し、全世界で2024年の月間平均を40.8%上回っていた。
英国は前年同期比56.0%増、ドイツは64.3%増、オランダは66.9%増となっていた。対照的に、フランスはバルニエ首相の辞任と緊縮予算案の発表で政治危機が一服したため、昨年の月平均ペースから11.9%低下していた。
米国は、トランプ大統領が11月の選挙で圧勝したことからも、新規顧客数は伸び悩み、2024年の月間平均から20.9%減少し、6月以来最も少なくなっていた。
一方、ブリオンボールトの銀地金保有量は、重量ベースでは12月の3ヶ月ぶりの高水準から変わらなかったものの、評価額ベースでは7.3%増の11億ドル(日本円建てで5.7%増の1,810億円)を超え、10月以来の高水準となっていた。
この結果、銀投資家インデックスは49.7へと3.0ポイント低下し、過去12ヶ月で5度目の50以下の数値となっていた。
連絡先: ホワイトハウス佐藤敦子
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ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスについて
ブリオンボールトの金・銀投資家インデックスは、個人投資家の地金現物の投資傾向を表す、世界でも数少ない指標である。24時間取引が行われている、ブリオンボールトのオンライン市場で取引がされたデータを基に算出され、それぞれのインデックスは、月間でその地金の購入が売却を上回ったネットで購入した投資家の数と売却が購入を上回ったネットで売却をした投資家の数のバランスを表している。そして、この購入者数と売却者数が完璧に一致した際を50として表示されている。
ブリオンボールトが発表するデータは、他の金銀地金市場のデータを補完し、世界最大の個人投資家へ行ったアンケート等の「意図」ではなく、実際に取引されたデータを基に算出されている。詳しくは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)のAlchemist誌の2013年の記事をご覧ください。
ブリオンボールト社について
ブリオンボールトは、金・銀・プラチナ・パラジウム地金現物所有サービスをオンラインで提供している世界でも有数の英国企業。今年4月で20年を迎える専門市場の低コストと深い流動性とセキュリティーを提供するサービスを利用して、現段階で175か国からの11万人を超える個人投資家が52億ドル(8110億円)相当の地金を保管ている。また、ブリオンボールトのサービスは自己投資型個人年金の英国のSIPPや米国のIRA口座、信託口座、企業やチャリティー団体が現物金地金を保有するためにも使われている。
ブリオンボールトは、下記サービスを提供している。
• オンラインとモーバイルで金・銀地金現物を24時間取引し、即座に決済。
• 米国ドル・ユーロ・英国ポンド・日本円の利用が可能。
• 地金現物を格安費用で、ロンドン、チューリッヒ、ニューヨーク、シンガポール、トロントで特定保管。
• 日々オンライン上で、顧客所有の金・銀現物が保管されていることを証明するディリーレポートを公表。
ブリオンボールトは、2008年から専門業界団体であるロンドン貴金属市場協会(LBMA)の正会員であり、2017年には、鉱業業界が支援するワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルのオンライン保管金銀地金パートナーに選ばれる。BBC、Handelsblatt、Bloomberg、日経ビジネスなど、英国内外の主要メディアで定期的に引用されているブリオンボールトは、2022年に3度目の英国企業女王賞を受賞している。
さらに詳細は、http://gold.bullionvault.jp