Vol.11-金箔の製法はひとつにあらず
「1分でわかる金箔」ファンの皆様なら、金箔がどのようにしてつくられているかすでにご存知のことと思います。う?ん、ちょっと忘れちゃったみたい…という方、vol.3「金箔はどのようにしてつくられているの?」をご覧ください。
ご紹介してきた製法は、昔ながらの伝統的な「縁付(えんづけ)」というもの。そのほかにもうひとつ、「立切(たちきり)」という金箔の製法もあるのはご存知でしょうか。「断ち切り」「現代箔」とも言います。
2つの製法は多くの点において異なりますが、大きな違いは次の2点です。
まず、箔打ち紙が違います。手漉きの雁皮紙を約半年間もの手間暇をかけて仕込んだものを箔打ち紙に用いる「縁付」に対して、「立切」は特殊なカーボンを塗布したグラシン紙を用いてつくられます。紙仕込みも短期間です。
そして、「縁付」は打ち上がった金箔を一枚ずつ革板の上に移して枠をあてて裁断するのに対して、「立切」は打ち上がった金箔を和紙(合紙)と交互に重ね、約500?1,000枚をまとめて縁を断ち落として仕上げられます。ですから、仕上がった箔は和紙と金箔の縁がきっちり揃ったものになります。例外もありますが、基本的には揃っています。
「立切」は効率的に量産でき、「縁付」に比べると安価。そのため、近年では主流になっています。
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我社では、用途に合わせて金箔を使い分けます。例えば、「箔座ブランド」として販売している食用の金箔には「縁付」を使います。例え人体に影響がなくても、カーボンを塗布した打ち紙でつくったものは食用にはおすすめしたくない、というこだわりからです。「食用金箔えんづけ」シリーズの'えんづけ'の意味をおわかりいただけたでしょうか。
ところで、「立切」はいつから登場してきたのでしょう。
聞いたところによると、昭和45年頃、「縁付」の生産が需要に追いつけず、また一方で価格が合わないという状況に陥ったそうです。何とか効率よく生産できないか…そこで当時行われたのが、まとめて縁を断ち落とす手法。その数年後、今度は仕込みに時間のかかる和紙の箔打ち紙に代わるものとして、カーボンを塗布した箔打ち紙が開発されたのです。
もし「立切」製法が開発されていなかったら…多量の箔の需要を満たすことができず、もしかしたら今の金沢が誇る99%というシェアは獲得できなかったかもしれませんね。
国宝の修復などに欠かせない「縁付」、今も昔も金箔界を支えている「立切」。どちらも金沢が世界に誇る素晴らしい技。このふたつの技を知っているあなたは、素晴らしい金箔通!
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